リグニン指標法によるホールクロップサイレージの消化率の測定
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要約
ホールクロップサイレージの乾物消化率は、酸性デタージェント-72%硫酸-2次加水分解の連続処理で得られるリグニン画分を用いた指標法で測定すれば、全ふん採集法とほぼ同等の測定結果が得られる。
- 担当:東北農業試験場・草地部・飼料調製研究室
- 連絡先:0196-41-2145
- 部会名:畜産(草地)
- 専門:動物栄養
- 対象:
- 分類:研究
背景・ねらい
家畜を用いた消化率測定法の1つである指標法は、特別の施設・用具や多くの労力を必要としない利点があるが、適切な指標物質を選定しておくことが前提となる。リグニンは古くから指標物質として検討されてきたものの、その測定結果は必ずしも安定したものではない。そこで、ホールクロップサイレージを対象として、家畜消化管内でのリグニンの消長を明らかにし、指標物質としてのリグニン画分の分析条件について検討した。
成果の内容・特徴
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ホールクロップサイレージのリグニンは、ふん中にそのまま排泄されるわけでなく、1部は家畜消化管内でリグニンフラグメントになって可溶化する(表1)。
- 酸性デタージェントで前処理すると、リグニン含有率は低く評価されるものの、ふん中へのリグニン回収率は低い(表2)。
- 72%硫酸処理後、2次加水分解を行わないと、ふん中のリグニンが相対的に高く評価される(表3)。
- 酸性デタージェント-72%硫酸-2次加水分解連続処理で求めたリグニンを指標物質に用いて測定した乾物消化率は、全ふん採集法によって求めたものと概ね一致する(図1)。
- ホールクロップサイレージの乾物消化率の測定には、酸性デタージェント(加熱還流1時間)-72%硫酸(20度C前後、4時間)-2次加水分解(3.6%硫酸、121度C、1時間)連続処理で得られるリグニン画分が指標物質として適する。
成果の活用面・留意点
多くの時間と労力のかかる飼料摂取量、排ふん量の測定をしなくとも、乾物消化率が
求められる。リグニンの分析はできる限り厳密に行なう必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:ホールクロップサイレージの繊維成分に基づく評価法の開発
- 予算区分 :高品質輪作
- 研究期間 :平成4年度(平成3年~5年)
- 研究担当者:近藤恒夫・大下友子・久馬 忠
- 発表論文等:T. Kondo, T. Ohshita and T. Kyuma. Characteristics of dioxane-soluble
lignins from corn sorghum silages and faeces of sheep fed on them. Can. J. Anim. Sci.,
1993(印刷中). その他2件.