農協による産地の効率的なマーケティング活動

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要約

DEA法による効率性の計測とアンケート調査に基づく農協によるマーケティング 活動と産地組織の実態把握から、効率的に産地の販売成果を獲得するためには、市場 情報の収集・分析を主体的に行うこと、生産者組織が生産出荷の計画の立案・調整や 新規作物開発の機能を分担することが重要であると判断された。

  • 担当:東北農試・農村計画部・農業組織研
  • 連絡先:19-643-4393
  • 部会名:経営
  • 専門:経営
  • 分類:指導

背景・ねらい

農協は産地のマーケティング成果を効率的に獲得するために、組合員農家に代わって販売事業を中心としてマーケティング活動を行っている。近年園芸産地化が進展する中で東北地域でも、合理的な産地のマーケティング活動のあり方の解明が要請されている。このため園芸産地化の進展のめざましい岩手県の総合農協(60農協)を対象に検討した。

成果の内容・特徴

  • 農協の販売事業直接費、販売事業職員数、指導事業支出、営農指導員数をマーケティングのコスト、米麦・園芸作物・畜産各々の販売高を農協による産地のマーケティング成果として捉え、DEA法(包絡分析法)を援用してマーケティング効率を計測した(表1)
  • 農協によるマーケティング活動内容の実態等を把握するため、市場調査・商品開発・販売促進・市場選択等の諸活動や農協事業部門の組織形態や生産者組織の機能などに関して販売事業主管部署の担当者を対象にアンケート調査を実施した(42農協回答)。
  • マーケティング効率の高いグループと低いグループで統計的に有意差のある回答を抽出すると、市場調査活動に関しては、(1)卸売市場等に職員・組合員を随時派遣して市場関係者の情報を収集している、販売促進活動に関しては(2)消費地でのキャンペーン実施、消費者の招待、マスコミに取り上げてもらうよう配慮、というものがあげられた。また、生産者組織の分担機能として、生産出荷計画の立案・調整や新規作物開発をあげる回答が多かった(表2)
  • 以上の結果から、農協による産地の効率的なマーケティング活動を行うためには、市場情報は経済連に依存するだけでなく主体的に情報の収集分析を行うこと、販売促進では市場関係者だけでなく消費者も対象とすることとともに、生産者組織が技術研修だけでなく生産出荷計画の立案や調整さらには新規作物の開発など、多くの機能を分担することが重要であると判断した。

 

成果の活用面・留意点

園芸作の新興産地におけるマーケティング戦略の策定に活用できる。

具体的データ

表1.農協によるマーケティング活動の効率計測のためのデータと計測結果

 

表2.岩手県農協のマーケティング活動実態に関する調査の集計結果

 

その他

  • 研究課題名:農協販売事業の経営分析とマーケティング活動の評価
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成5年度(平成4~5年)
  • 発表論文等:未発表