寒冷地におけるソルガムの適品種の選定

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

寒冷地において、ソルガムの品種は播種期が遅くなるほど出葉数が減少して 出穂迄日数が短縮し、この結果、乾物収量が次第に低下する品種と、これとほぼ反対の 生育特性を示す品種に大別できた。また、気象的に平年の年次(1992年)に対する低温・ 低日照の年次(1993年)の生育反応についても同様に品種を群別できた。

  • 担当:東北農業試験場・草地部・飼料作物研究室
  • 連絡先:019-643-3561
  • 部会名:畜産(草地)
  • 専門:栽培
  • 対象:雑穀類
  • 分類:指導

背景・ねらい

ソルガムは飼料作物として最も高い乾物生産性を示し、耐湿性も高いので東北地域では転換畑を中心にその導入が期待されている。しかし、本草種は熱帯原産であり寒冷な気候下での生育反応は十分に明らかにされていない。本研究は、寒冷な地域で、ソルガムの発育と乾物生産反応を明らかにして、適品種の選定・奨励に資することをねらいとする。

成果の内容・特徴

ソルガムでは播種期移動および気象的に平年の年次(1992年)に対する低温・低日照の年次(1993年)における生育反応に極めて大きな品種間差があった。この結果、播種期間や年次間で品種の出穂期と乾物収量が逆転する場合があった。

  • 播種期が遅くなるに伴い出葉数が少なくなって出芽~出穂迄日数が短縮し、稈長が短く稈径が細くなり乾物収量が次第に減少する品種(スズホ、X8280、FS4他)とこれと反対に出葉数が次第に増加し出穂迄日数がほとんど変化せずに、稈長が長く稈径が太くなって乾物収量が次第に増加する品種(リュウジンワセ、東山交15号、NS30A他)がある。このため、品種の出穂期と乾物収量が播種期によって逆転する場合が生ずる(図1)。
  • 平年的な気象の1992年に比較して1993年の異常低温・低日照下で、ソルガム品種は出葉数が大きく減少して出穂迄日数がほとんど変化せずに乾物収量が大きく低下した品種と、出葉数はほとんど変化せずに出穂迄日数が増加し乾物収量の低下の少ない品種があった。(図2、図3)
  • 品種の選定・奨励は、以上に示した発育と乾物生産特性を十分に把握し、適切に解説して行う必要がある。

成果の活用面・留意点

  • ソルガムでは作期や気象条件によって生育反応が大きく変化することが分かった。作期や栽培地域に対応した適品種の選定と奨励に利用できる。
  • ここでは、乾物収量の変化による品種選定について述べたが、実際の現場では、もちろん、利用目的を併せて考慮し選定・奨励を行うことが必要である。

具体的データ

図1.播種期移動による発育と生長の変化

 

図2.出芽~出穂迄日数の1993年と1992年の差

 

図3.乾物収量の1993年と1992年との比

 

その他

  • 研究課題名:多湿・低温ストレス下におけるとうもろこし等の生育栄養特性の解明 b.ソルガムの作期移動試験
  • 予算区分:高品質輪作
  • 研究期間:平成5年度(平成3~5年)
  • 発表論文等:
    寒冷地におけるソルガム類の生育特性の解明
    1.作期移動による発育と乾物生産特性の変化(1993)、日草誌39別:61~62