良食味・いもち病抵抗性の水稲新品種「おきにいり」
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要約
水稲「おきにいり」は中長稈の中間型品種で、東北中南部では中生に属する粳種である。本品種は極良食味でいもち病抵抗生が強く、耐冷性、耐倒伏性、白葉枯病抵抗性も強い。千粒重はやや大きく多収で、宮城県で奨励品種に採用の予定である。
- 担当:東北農業試験場・水田利用部・稲育種研究室
- 連絡:0187-66-2773
- 部会名:水稲
- 専門:育種
- 対象:稲類
- 分類:普及
背景・ねらい
東北地域では冷害と並んでいもち病が稲作における大きな生産阻害要因であり、耐冷性やいもち病抵抗性の強い良食味品種の育成が切望されてきた。最近になって耐冷性の極強い良食味品種が育成されるようになったが、いもち病に強い良食味品種は育成されていないため、良食味品種の栽培には徹底した薬剤防除が行われている。当研究室では耐冷性、多収性を加味しながら、いもち病抵抗性と良食味性を結びつけた品種の育成に努めてきた。
成果の内容・特徴
- 「おきにいり」は「中部47号」/「奥羽313号」の組合せから育成された、中長稈の中間型品種で、育成地では中生の晩に属する粳種である。
- 耐冷性は強で、耐倒伏性も強である。穂発芽性はやや難である。
- いもち病真性抵抗性遺伝子Pa-a、Pa-iをもつと推定され、圃場抵抗性は葉いもちがやや強、穂いもちは強である。白葉枯病抵抗性もやや強である。
- 千粒重がやや大きいが、玄米品質は「ササニシキ」並の上下、食味は「あきたこまち」並の極良(上中)である。収量性は高く、多肥でとくに多収である。
- 本品種の特徴は、いもち病圃場抵抗性と良食味性が結びついていることと、いもち病以外にも冷害、倒伏、白葉枯病等種々の障害に強いことである。
- 宮城県では「サトホナミ」対象に奨励品種に採用の予定で、倒伏やいもち病の発生しやすい地帯での「ひとめぼれ」「ササニシキ」の一部も代替し、5000haの普及が見込まれる。
成果の活用面・留意点
- 「おきにいり」は東北地域中南部に適応する。
- 耐倒伏性は強いが、稈長が長いので、極端な多肥栽培は避ける。
- 登熟後期まで茎葉が鮮麗であるので、刈り取り適期を逸しないよう注意する。
- 高温登熟条件下では心白、背白などが発生し、品質が低下しやすい。
具体的データ

その他
- 研究課題名:いもち病抵抗性品種の育成
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成7年度(昭和59年~平成7年)