画像解析によるダイズ群落の植被率の計測と生育指標の面的評価法

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要約

ダイズ群落の植被率は空撮写真画像を解析することで簡便に測定できる。この植被率から葉面積指数(LAI)などの生育指標が推定できる。この手法をラジコンヘリによる空撮写真に適用すれば生育指標の圃場内変異が評価できる。

  • 担当:東北農業試験場・農村計画部・情報処理研究室
  • 連絡:0196-43-3409
  • 部会名:畑作物,作業技術
  • 専門:栽培
  • 対象:豆類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ダイズの安定生産のためには、生育状況を把握し、適時に適切な栽培管理を行うことが重要である。この生育状況を非破壊で簡便に計測する技術の開発が求められている。そこで、空撮写真を画像解析することによって得られる植被率を用いて、ダイズ群落の生育状況を評価することを試みた。

成果の内容・特徴

  • クレーンにより撮影したダイズ圃場のカラー写真から植被率(植物体が土壌を被覆している割合)を推定するための画像解析手法を開発した(図1)。
  • この手法では、画像を2値化して植物体の領域を抽出し、単位面積あたりに植物体の占める割合を算出して、植被率とする。
  • 植被率は葉面積指数(LAI)と高い相関があり(図2)、葉面積指数の推定に適用できる。また、植被率は主茎長、葉数とも高い相関があり(主茎長:調整済R2=0.956、葉数:調整済R2=0.967)、これらも同様に推定できる。
  • この画像解析手法をラジコンヘリ等で空撮した写真に適用すれば、圃場内における植被率の変異を面的に推定することができる(図3)。
  • これに植被率と生育指標との関係式を適用することによって、葉面積指数、主茎長、葉数の圃場内変異を評価することができる(図4)。

成果の活用面・留意点

  • ダイズの生育管理に利用する場合、植被率が100%近くになる開花期までの生育診断技術として利用する。植被率が90%(葉面積指数4)以上になると推定精度は低下する。
  • 生育指標を推定するには、植被率と生育指標の関係式をあらかじめ作っておく必要がある。
  • 対象範囲に雲の影などがない晴天日で、影ができるだけ短い時間帯(午前10時頃から午後2時までの間)に撮影することが望ましい。

具体的データ

図1.画像解析による植被率の算出の流れ 図2.植被率と葉面積指数との関係

 

図3.ラジコンヘリによる空撮写真から算出した植被率の圃場マップ

 

図4.図3の植被率より推定したLAIの圃場マップ

 

その他

  • 研究課題名:生育管理のための画像解析技術の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成5~7年)
  • 発表論文等:日作紀65巻(別号1)p.176-177.1996