小麦の硬軟質性分類による品質選抜の効率化

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要約

ブラベンダー製粉機で製粉した場合のA粉比表面積及びA粉割合で、小麦の硬軟質性を分類することにより、用途にあった品質特性を持つ系統の品質選抜の効率化が図られる。

  • 担当:東北農業試験場・作物開発部・麦育種研究室
  • 連絡先:019-643-3512
  • 部会名:畑作物
  • 専門:育種
  • 対象:麦類
  • 分類:研究

背景・ねらい

国産小麦は輸入小麦に比べ、一般に品質が劣ると言われ、 品質の向上が実需者から求められている。 小麦は粒質により硬質小麦と軟質小麦に大きく分けられ、前者は主にパンなどに、 後者は主に日本式めん及び菓子などに用いられている。 このため、これらの用途に合った品種開発のためには、 初中期世代での硬軟質性の選抜が必要である。 そこで、初中期世代での硬軟質性の選抜法の確立をするとともに、 硬軟質性と品質との関連を調査し、品質選抜の効率化を図る。

成果の内容・特徴

  • A粉比表面積の大きいグループは軟質小麦に、 小さいグループは硬質小麦に分類できる(図1)。
  • A粉割合によっても、A粉比表面積と同様に、A粉割合の高いグループは硬質小麦、 低いグループは軟質小麦に分かれ、硬軟質性の分類が可能である(図1)。
  • 硬質小麦と軟質小麦では、多くの品質特性に差が認められる(表1)。 このため、硬質小麦と軟質小麦の組合せでは、特定の品質形質だけで選抜をすると、 硬質小麦もしくは軟質小麦に片寄った選抜になる可能性がある。
  • 硬質小麦と軟質小麦の組合せでは、用途に合わせて、 軟質小麦および硬質小麦を選抜した後、品質特性の選抜をすることにより、 品質選抜が効率化される。

成果の活用面・留意点

  • 小麦の品種育成に活用できる。
  • A粉割合の硬質小麦と軟質小麦の境界は、栽培条件・製粉条件で変動する。
  • 製粉は製粉速度150g/7分、テンパリング水分は14.5%、篩いは70GG、 A粉とB粉のトレイの比率は1:1で行う。

具体的データ

図1 小麦品種・系統におけるA粉の比表面積とA粉割合との関係

表1 小麦品種・系統における硬軟質別の品質特性の平均値間の比較

その他

  • 研究課題名:高製粉性中間母本及び品種の育成
  • 予算区分 :総合的開発研究(高品質輪作)
  • 研究期間 :平成7年度(平成3年~7年)
  • 発表論文等:東北地方におけるコムギの品質に関する研究 第3報
                      コムギの製粉性と硬軟質性の分類、日作紀、64(1)、27-32、1995
                      (同上) 第4報 コムギの硬軟質性に基づく品質形質相互間の関係、日作紀、
                      64(2)、221-226、1995