小麦種属間雑種系統中に見出された高蛋白系統・黄粉色系統

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要約

小麦種属間交雑により育成された赤さび病抵抗性系統のうち、カモジグサ及び 二粒系・チモフェービコムギ由来の系統は粗蛋白含量が高いものが多く、 カモジグサ由来の系統には粉の黄色みが強いものも多い。 また、キタカミコムギ並の粉色で高製粉性の系統があり、 赤さび病抵抗性品種育成の交配母本として有用である。

  • 担当:東北農業試験場・作物開発部・品質評価研究室
  • 連絡先:019-643-3513
  • 部会名:畑作物
  • 専門:育種
  • 対象:麦類
  • 分類:研究

背景・ねらい

チモフェービコムギ、カモジグサなどの近縁種から赤さび病抵抗性を導入した系統が育成されている。これらの系統は近縁種由来の遺伝子または染色体を取り込んでいるため、栽培種にない特性を有する可能性が考えられる。そこで、これらの系統の品質特性について評価し、交配母本としての活用の可能性を検討する。

成果の内容・特徴

  • カモジグサ由来及び二粒系・チモフェービコムギ由来の系統には、粗蛋白含量が高いものが存在し、さらに、カモジグサ由来の系統には粉の黄色み (D455-D554)が強いものも存在する (図1)。   
  • AD-3、AS-1、AS-3、KTK-1、さび系14号は、粗蛋白含量が高い系統である (表1)。
  • RW-29、Agrus、AS-1、AT-11、AS-3は粉の黄色みが強い系統である (表1)。
  • キタカミコムギ並の粉色で、高製粉性の系統は、赤さび病抵抗性品質育成のための交配母本として有用である (表2)。

成果の活用面・留意点

  • これらの系統の品質特性の遺伝様式については今後解明が必要である。
  • 粗蛋白含量の高い系統は粉の色調が劣る傾向があり、母本選定にあたっては注意が必要である。

具体的データ

図1.各種属間雑種系統のA粉粗蛋白含量および粉の黄色み(D455-D554)の度数分布

 

表1.A粗蛋白含量及び粉の黄色み(D455-D554)の上位5系統 表2.キタカミコムギ並みの品質特性を持つ系統

 

その他

研究課題名:小麦種属間雑種系統の品質・加工関連形質の評価
予算区分 :経常
研究期間 :平成8年度(平成4~8年)
発表論文等:赤さび病抵抗性を持つコムギ種属間雑種系統の品質特性、
東北農試研資、20号、25~43、1997。