発芽子葉を利用したナタネの種子グルコシノレート含量の簡易評価法

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要約

播種後2~3日目の発芽子葉に含まれるグルコシノレートを加水分解し、 遊離したグルコースを ムタロターゼ・グルコースオキシダーゼ法を用いて測定することにより、 グルコシノレート含量を簡易評価することが可能である。

  • 担当:東北農業試験場・作物開発部・資源作物育種研究室
  • 連絡先:019-622-3310
  • 部会名:畑作物
  • 専門:育種
  • 対象:なたね
  • 分類:研究

背景・ねらい

これまで、低グルコシノレート個体の選抜は、 F2植物上のF3種子をまとめて集団として検定していた。しかし、この方法では多数の種子が必要なため、F3世代以降でしかグルコシノレート含量を評価することができなかった。また、低グルコシノレート個体の出現頻度が非常に低いため、多数のF2個体を選抜する必要があった。このため、低グルコシノレート個体の早期選抜を可能とする、グルコシノレート簡易評価法を開発しようとした。

成果の内容・特徴

  • 20度Cのインキュベータ内において、播種後2~3日経過し、発芽した個体の半子葉を摘出して、種子グルコシノレート含量の評価に利用する。
  • 図1の操作により、摘出半子葉に含まれるグルコシノレートを内性の酵素ミロシナーゼによって加水分解し、遊離したグルコースをムタロターゼ・グルコースオキシターゼ法による医療用グルコース測定試薬を用いて発色させる。
  • 本検定法による低グルコシノレート個体の検出精度は高く、グルコシノレート含量が低・中・高の品種は種子1粒レベルで明確に区分される。また、吸光度が0.1以下の個体を選抜することで、容易に低グルコシノレート個体を選抜することができる (図2)。
  • 子葉に含まれるグルコシノレート含量は、その多少や日長条件に関わらず播種後3日目までは変動が小さい (図3-a、b)。
  • 肉眼による発色程度の判定でも、低グルコシノレート個体の選抜は可能である。
  • 分光光度計を用いた測定では1日に150点、肉眼による判定では約400点の評価が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 低グルコシノレート品種育成のための初期選抜に利用できる。
  • 本簡易評価は播種後3日までに行う。

具体的データ

図1.グルコシノレート含量簡易評価のための操作手順 図2.簡易評価法によるグルコース吸光度とHPLC法によるグルコシノレート含量の分布

 

図3.播種後日数と子葉のグルコシノレート含量

その他

  • 研究課題名:ナタネ無エルシン酸・低グルコシノレート品種及び高エルシン酸品種の育成
  • 予算区分:新需要創出
  • 研究期間:平成8年度(平成6年~9年)
  • 発表論文等:
    発芽子葉を利用した低グルコシノレート個体の簡易検定法(1997)育種学雑誌、47(別1)、266
    医療用検査試薬を使って新しいナタネを開発する(1997)東北農業試験場たより、84、4