マクロシードペレットによる野草地・林内野草地の簡易草地改良技術

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要約

専用の成形複合肥料の表面に牧草種子を糊付けしたマクロシードペレットは、不耕起で野草地や林内野草地に牧草を定着させることが可能であり、低密度で播けば、牧草と野草の混生草地に、高密度で播けば、牧草地にできる。

  • 担当:東北農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:019-643-3412
  • 部会名:永年草地・放牧
  • 専門:生態
  • 対象:牧草類・野草類
  • 分類:普及

背景・ねらい

我が国には豊富な野草資源があるが、山地の草地開発が行われてからは肉用繁殖牛についてもほとんどが牧草地に放牧されるようになり、林野放牧の中止が景観を悪化させた。一方、従来の草地造成は速やかに牧草化するため多くは全面耕起法で造成された。このような草地は生産力と植生維持のために毎年、施肥を行わなければならない。そこで、野草及び原土壌の地力を有効に利用する省力・低コストの草地改良技術を確立して、林野の畜産的土地利用による景観保全を図る必要がある。

成果の内容・特徴

  • 成形複合肥料の表面に牧草種子(10~20粒/ペレット)を澱粉糊で付けたマクロシードペレットを野草地に不耕起で播くと、牧草と野草の混生草地が造成できる。混生草地は貧栄養土壌条件でも生育可能な野草の特性を活用した低投入型の草地である(図1、図2)。
  • 混生草地の造成にあたっては、専用の成形複合肥料(楕円球:12g/ペレット)を使用したマクロシードペレットを野草地や林内草地に8個/m2の密度で播けば十分である(表1、表2)。
  • マクロシードペレットを用いて牧草地にするは、野草地では放牧あるいは刈り払い後また林地では伐木・搬出した後に高密度(18~20個/m2)で播くとよい(表3)。
  • マクロシードペレットの播種適期は慣行の草地造成と同様に8~9月である。しかし初冬に播いても、翌春の牧草の定着率は低いものの、その後、追肥を行うと、牧草は徐々に拡大する。

成果の活用面・留意点

  • 本技術は山地の野草地ならびに林内野草地の草生の改良に有効であり、裏山など小規模改良の場合には人力で施工できるが、短期間に大規模改良する場合には本チームで開発した散布システム(平成8年度主要成果:圧縮空気を利用したマクロシードペレット散布作業システム)の利用が便利である。
  • ①成形複合肥料ならびに澱粉糊は専用のものを使用する。②播種翌々年の春から追肥を行う。③播種後は適正放牧を継続する。

具体的データ

図1.マクロシードペレットの模式図

図2.マクロシードペレットの効果

表1.マクロシードペレットによる野草地の簡易草地改良法

表2.大径木生産を目的とした林間放牧地のマクロシードペレットによる草生改良法

表3.マクロシードペレットによる林地からの不耕起草地造成法

その他

  • 研究課題名:マクロシードペレットによる野草地・林地の簡易改良技術の確立
  • 予算区分  :経常、畜産局
  • 研究期間  :平成9年度(平成5年~10年)
  • 研究担当者:三田村強、長谷川三喜、渋谷幸憲、篠田満、安ヶ平精三
  • 発表論文等:マクロシードペレットによる簡易草地改良法、酪農ジャーナル、32-35、1995