北東北におけるチモシー乾草およびサイレージの栄養価の刈取り日からの推定
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
北関東では、チモシー1番草の乾草およびロールベールラップサイレージの可消化養分総量(TDN)含有率を刈取り日から推定できる。
- 担当:東北農業試験場・草地部・飼料調製研究室
- 連絡先:019-643-3564
- 部会名:飼料利用
- 専門:動物栄養
- 対象:牧草類
- 分類:指導
背景・ねらい
チモシーは耐寒性が強く、湿潤な気象・土地条件にも適し、また、成熟が進んでも比較的高い消化率が維持される特徴がある。東北地域の永年草地ではオーチャードグラスが基幹牧草であるが、こうした特性をもつチモシーの導入・普及により草地の利用性ならびに良質貯蔵飼料生産が一層向上するものと期待される。そこで、1番草(品種クライマックス、中生)の乾草およびロールベールラップサイレージ(以下、サイレージ)を調製して、その可消化養分総量(TDN)を調べ、刈取り日との関係を解析し、北東北におけるチモシーの採草利用技術の確立に向けて資する。
成果の内容・特徴
- 刈取り年によって生育温度条件がかなり相違したが(付表)、刈取り日と乾草およびサイレージのTDN含有率との間には年次を越えた密接な関係が認められる(図1)。
- この関係は次の2次回帰式で表わされる。 y = 89.65-0.8345x+0.004623x2 R2 = 0.934 y : TDN含有率(%) x : 刈取り日(5月1日を1とする) この回帰式に従うとき、刈取り日が6月14日(x = 45)であれば TDN含有率は61.6%と推定され、その95%信頼区間は59.9-63.4%になる(図1)。
- 1番草生草の糖含有率は11%から14%の間で推移し、どの生育時期でも良質サイレージ調製に必要なレベルの10%を上回る(図2)。
- 4.北東北では刈取り日からチモシー乾草およびサイレージのTDN含有率が推定でき、TDN含有率を考慮した計画的な乾草およびサイレージ生産が可能である。
成果の活用面・留意点
- 北東北におけるチモシー草地の採草計画・作業、品質管理および家畜給与の指針として活用できる。
- 高標高地など生育温度条件が大きく異なる場合や極早生および晩生品種については、回帰式を別途検討する必要がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:
①公共牧場におけるチモシー型草地の収穫調製作業体系の実態解明
②チモシーを基幹草種としたグラスサイレージの迅速・省力的調製技術の確立
- 予算区分 :地域総合
- 研究期間 :平成9年度(平成9年~13年)
- 研究担当者:近藤恒夫、嶝野英子、村井 勝
- 発表論文等:近藤恒夫・大下友子・久馬 忠・嶝野英子・村井 勝、北関東におけるチモシー(Phleum pratense L.)の刈取り日と乾草の栄養価との関係、Grassland Science 43(2):168-170(1997)