消費者の特徴から見た米選択基準

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要約

消費者の特徴ごとに米購入時の選択基準を調べた結果、 「所得の多い世帯の年配の女性」は品質を、 「一人暮らしの若者」はプレゼンテーションを、 「高齢者のいる家庭の主婦」「消費者グループに加入している主婦」 は生活感を重視していた。

  • 担当:東北農業試験場・総合研究部・動向解析研究室
  • 連絡先:019-643-3491
  • 部会名:経営
  • 専門:経営
  • 分類:指導

背景・ねらい

米の消費量が減少する中で、銘柄米志向や安全性重視など、消費者の米に対するニーズは多様化している。このような状況に対応した米の生産・販売に役立てるために、消費者が米を購入するときの選択基準を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 消費者が米を購入する際に重視している要因を調べるために、盛岡市の住民を対象にアンケート調査を行った(住民票より単純無作為抽出、 548世帯に郵送、回収率60.0%、有効回答数243、有効回答率44.3%)。調査時期は1995年10~11月である。まず、米の購入時に判断要因になると考えられる17の評価項目を用意した。各評価項目についてそれぞれ「重視する」から「重視しない」まで 4段階の間隔尺度として提示し、最も自分の考えに近い位置を選択してもらった。その結果を得点化し、平均得点を計算した(図1)。得点が最も高い項目は「国内産かどうか」で、次に高得点を獲得した項目は「味の良さ」である。一方、得点が特に低い項目は、「新奇性、珍しさ」「名前、語呂の良さ」「パッケージの美しさ」となっている。
  • これら17の評価項目を用いて主成分分析を行った (表1)。その結果、消費者の米選択基準として以下の3つの軸を抽出することかできた。第1主成分は「色つや」「産地」「味の良さ」「ブランド」「歯ごたえ」など米そのものの品質を評価する項目との関連が高いので、【品質軸】と名付けた。第2主成分は「名前」「新奇性」「パッケージ」「評判」と店頭でいかに目を引くか、その米に関してどのような情報を得ているかということを重視する項目との関連性が高く、【プレゼンテーション軸(以下プレゼン軸)】とした。第3主成分は「手に入りやすさ」「栄養価」「安全性」「値段の安さ」と、日常の便利さや食の安全・健康面など生活に密着した条件を重視していることから、【生活感軸】とした。
  • 各属性分類ごとに主成分得点の平均を計算した (図2)。その結果、(1)品質軸を重視している回答者は、世帯員数2人以上の世帯、年齢の高い回答者、女性の回答者、年収500万以上の世帯ということから、「所得の多い世帯の年配の女性」という回答者像が浮かび上がった。次に、(2)プレゼン軸を重視しているのは、単身世帯、高齢者のいない世帯、 20代までの回答者、年収500万以下の世帯ということから、「一人暮らしの若者」が代表的な例と考えられる。そして、(3)生活感軸を重視しているのは、世帯員数2人以上の世帯、高齢者のいる世帯、30代の回答者、女性の回答者、無職の回答者、消費者グループに加入している世帯ということから、回答者の例として、「高齢者のいる家庭の主婦」、「消費者グループに加入している主婦」という姿が想像できる。

成果の活用面・留意点

  • 米の消費者ニーズを消費者属性別に把握する上で判断材料になる。
  • 調査時期は冷害による米不足がようやく解消する一方で、新食糧法が施行された時期でもあった。そのため、回答者の評価結果に、それらが大きく影響している可能性がある。
  • 本データはあくまでも一地方都市の調査結果に基づいている。

具体的データ

図1.重視度別人数と平均得点・分散

 

表1.米選択基準の主成分分析結果

 

図2.属性分類別主成分得点の平均値

 

その他

  • 研究課題名:米の消費者ニーズと購買行動の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成9年度(平成8年~10年)