小麦判別品種を用いたコムギ縞萎縮ウイルス(WYMV)の系統の類別
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要約
日本国内の小麦育成場所の圃場から採集されたコムギ縞萎縮ウイルス(WYMV)分離株は、ナンブコムギ・フクホコムギ・早熟赤毛・北海240号の各判別品種に対する病原性により3系統に類別できる。
- 担当:東北農試・地域基盤研究部・病害生態研究室
- 連絡先:019-643-3465
- 部会名:畑作物
- 専門:病害
- 対象:小麦
- 分類:研究
背景・ねらい
コムギ縞萎縮病の防除には抵抗性品種の利用が有効である。病原であるコムギ縞萎縮ウイルス(WYMV)には病原性の異なる系統が存在するため、それぞれの系統に対応した抵抗性品種を開発する必要がある。しかし、これまで本ウイルスの系統判別品種・判定基準には統一されたものがなく、抵抗性に関する遺伝学的知見もほとんど無かった。そこで、本研究では、各ウイルス系統に対する抵抗性遺伝資源の検出と、その遺伝学的解析を目的として、WYMVの判別品種を選定しウイルス系統の類別を行う。
成果の内容・特徴
- WYMVの日本標準株(石岡市分離)、北海道株(伊達市分離)、東北農試株(盛岡市分離)、九州農試株(筑後市分離)は、ナンブコムギ・フクホコムギ・早熟赤毛・北海240号の各品種に対する病原性により3系統に分けられる(表1)。それぞれのウイルス系統にR反応を示した品種が対応する抵抗性遺伝資源と考えられる。
- この判別品種の反応は、ELISAによるウイルスの増殖の有無で判定される。また、標準株以外については、圃場試験と汁液接種での反応が一致する。
- 判定のための汁液接種は、図1に示した方法で行う。判定は、陽性対照区(感受性品種)で60%以上の発病株率となったときに行う。
成果の活用面・留意点
- WYMVの系統が類別されたことから、それぞれの系統に対する抵抗性の遺伝資源のスクリーニングが可能になり、抵抗性品種の開発につながる。
- コムギ縞萎縮病発生圃場に判別品種を直接播種することにより、その圃場を汚染しているウイルス系統を判別することができる。ただし、寒冷地では判別品種の中に耐寒性の弱い品種があるので判定が困難な場合がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:コムギ縞萎縮病に対する抵抗性品種・系統の評価・分類
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成11年度(平成10年度・11年度)
- 発表論文等:
The Effects of temperature on the reaction of two wheat to different wheat yellow mosaic bymovirus (WYMV) strains. Proceedings of 4th symposium of IWGPVFV. (in press) 2000.