農産物の活性酸素消去活性の相対評価法
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要約
96穴プレートを用いた化学発光法及び、DPPHラジカル消去法による農産物の迅速かつ信頼性のある活性酸素消去活性測定法を提案する。サンプルは処理方法を同一条件にすることにより、農産物間の相対比較が可能である。測定は96穴プレートを用いるので迅速、簡便である。
- 担当:東北農業試験場・畑地利用部・流通利用研究室
- 連絡先:024-593-6178
- 部会名:流通・加工
- 専門:加工利用
- 分類:研究
背景・ねらい
抗酸化性、ラジカル消去活性を測定する方法は決まった統一した方法がなく、サンプルの処理方法、測定法が異なると相対的な活性の強弱が分かりにくく客観的な評価を下しにくかった。そのため客観的で簡便な相対評価法を確立する。
成果の内容・特徴
- 試料の処理方法、活性の測定方法を統一することで様々なサンプルの相対的強度を測定できるようになる。
- 96穴のプレートを用いることで迅速かつ正確な測定が可能になる (図.1,2)。
- 測定は安定ラジカルであるDPPHラジカルを用いDPPHラジカルが消去された割合を 550nmの吸光度で測定する方法(図.1)と、キサンチン-キサンチンオキシダーゼによって酵素的に活性酸素の一つのスーパーオキサイドアニオンを作りだし、スーパーオキサイドアニオンに対し特異的に発光する試薬(MCLA)を用いスーパーオキサイドアニオンの消去された割合を発光強度で測定する方法 (図.2)の2つの方法を用いた。
各測定法には欠点があるが、この原理の異なる2つの方法を組み合わせることにより正確な測定が可能になる(図.3)。
成果の活用面・留意点
- 反応系が水溶性であり、サンプルの抽出にジメチルスルホキシド(DMSO)を用いている。このためこれに溶けないビタミンEのような疎水性が高い成分については測定できない。
- 両方法において、高い活性を示す時は、真に強い活性酸素消去活性があると、ほぼ断言できる。しかしながら、サンプルによっては片方の測定方法だけに活性が見られる場合ある。これはサンプルのラジカル種による反応性の差なのか、測定法の特性により見かけ上活性が見られたためか、この評価法だけでは判断できない。この場合は、更に異なる原理による測定法をもちいた検討が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:地域農産物による抗酸化性機能食品の開発
- 予算区分:大型別枠(新需要創出)
- 研究期間:平成11年度(平成10~12年度)
- 発表論文等:
- 東北地域農産物のラジカル消去能の評価 日本農芸化学会1999年度大会講演要旨集 p.125(1999)
- Relative estimation of the radical scavenging activity of the products in Tohoku area 2nd International conference on food factors(2nd ICoFF)abstracts p.177(1999)