消費者のためのステーキ用カット肉の成分およびカロリー測定装置

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要約

開発した測定装置により、消費者にステーキ用カット肉に脂肪含量、蛋白含量およびカロリーを呈示することができる。この装置はデジタルカメラ、電子天秤および開発ソフトを搭載したコンピュータにより構成され、比較的安価である。

  • 担当:
    東北農業試験場 草地部 飼料作物研究室 畜産部 栄養生理研究室 総合研究部 総合研究第2チーム 農村システム研究室
  • 連絡先:019-643-3563
  • 部会名:畜産(家畜)
  • 専門:情報処理
  • 対象:肉用牛
  • 分類:指導

背景・ねらい

従来の牛肉の画像解析は、枝肉格付けのためのロース芯の脂肪交雑の客観的評価を目的としているため、カット肉の脂肪交雑の解析ならびに脂肪以外の成分についてはほとんど検討されていない。また、現在では流通末端においてカット肉の成分の分析とそれに基づいた品質表示がされておらず、消費者に十分な情報が提供されていない。そこで、カット肉の成分分析および表示が簡易にできる迅速な非破壊的評価を目的として、本装置を開発した。

 

成果の内容・特徴

  • 本装置は、デジタル画像を取得するためのデジタルカメラ、重量を計測するための電子天秤およびMicrosoft社のVisual C++により開発された解析ソフトを実行するための汎用型コンピュータ(OS:Windows95/98)で構成される (図1)。
  • 本装置に内蔵される解析ソフトにより、対象となる肉片のデジタル画像、重量(g)、スケール(pixels/mm)および比重値(g/立方センチメートル:赤身部分および脂肪部分)と既知の分析結果が入力されたデータファイル(66点のリブロース芯およびリブロース)から、対象となる肉片の脂肪含量(g)±95%信頼限界、蛋白含量 (g)± 95%信頼限界およびカロリー値が算出される(図2 )。同時に、肉片に含まれる脂肪粒数、脂肪粒面積、肉色および脂肪色なども算出することが可能である。
  • 具体的な算出方法として、デジタル画像の解析から算出された脂肪面積、赤身肉面積、重量及び比重値を用いた計算より得られた推定値(g)を既知の分析結果で得られた回帰式により変換し、推定分析値(g)を得る方法を利用する (図3)。

成果の活用面・留意点

  • 本装置により、消費者に非破壊的でステーキ用カット肉の成分およびカロリーを呈示することができる。
  • 本装置は、一般的に市販されている機器を利用するため、比較的安価で製作できる。
  • ロース以外の他部位については、回帰直線の傾きが異なる可能性がある。

具体的データ

図1.成分およびカロリー測定装置の模式図

 

図2.リブロースの分析例

 

図3.推定分析値の具体的な算出方法

 

その他

  • 研究課題名:
    消費者が求める牛肉品質の評価システムの開発とその評価情報の産消間ネットワーク化のための基礎的研究
  • 予算区分:科学技術振興調整費(重点基礎)
  • 研究期間:平成11年度(平成10年度)
  • 発表論文等:特許申請中(食肉成分測定装置及び記録媒体 特願2000-17543)