パクロブトラゾール剤処理によるシロクローバ種子生産性の向上
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要約
シロクローバの種子生産で問題となる、頭花倒伏や腐敗、頭花上での発芽による頭花損失を、植物生長調節剤のパクロブトラゾールによる処理で軽減し、種子収量を向上させることができる。
- 担当:東北農業試験場・草地部・飼料作物研究室
- 連絡先:019-643-3563
- 部会名:育種
- 専門: 育種
- 対象: 牧草類
- 分類: 研究
背景・ねらい
シロクローバは、効率的な種子の生産が難しく、特に開花~登熟期に多湿な条件となる国内で行われる育種家種子、原種種子の生産では種子収量が低く、育成品種の普及を妨げる一因となっている。そこで、種子収量を増加させるため、頭花の損失が種子収量を低下させる要因であることを明らかにし、アンチジベレリン効果を持つ植物生長調節剤パクロブトラゾールでの処理により損失を軽減する技術を開発した。
成果の内容・特徴
- 頭花の倒伏と腐敗、頭花上での発芽による損失で収穫頭花数が減少し、種子収量が低下する(表1)。
- 出蕾期に成分量1kg/haのパクロブトラゾール剤を散布処理することにより、栄養生長が抑制され、形態が矮小化する(表2)。特に葉柄の短化程度が大きく、草冠上に位置する頭花の割合が増加する(表2,表3)。
- 頭花が草冠上で登熟する割合が増加することにより、倒伏や腐敗、頭花上での発芽による損失を軽減することができ、収穫頭花数、種子収量が増加する(表3)。
成果の活用面・留意点
- 育成場所での育種家種子の生産、種子増殖機関での原種種子の生産場面での種子収量向上技術の開発に活用する。
- 根部から吸収される割合が高いため、土壌水分量が低い時の散布は処理効果が低下する恐れがあるので避ける。
具体的データ



その他
- 研究課題名:シロクローバの種子生産性に関する要因の解明
- 予算区分:経常、STAフェローシップ
- 研究期間:平成12年度(平成3年~(7)~12年)
- 研究担当者:松村哲夫、S.Pasumarty(ニュージーランド国立マッセイ大学)、米丸純一、樋口誠一郎
- 発表論文等:
①シロクローバ育成品種の採種性及び採種性関連特性(3)頭花の倒伏が種子収量に及ぼす影響(1998).
東北農業研究、51、p131-132
②パクロブトラゾール処理がシロクローバの形態及び種子生産性に及ぼす影響(1999).
日本草地学会誌、45(別)、p136-137
③パクロブトラゾール処理によるシロクローバ頭花の損失軽減と種子生産性の改善(2000).
日本草地学会誌、46(別)、p130-131