水稲品種のタイヌビエ抑草力は空間占有体積によって評価できる
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
タイヌビエに対する水稲の抑草力には品種間差異がある。水稲品種の抑草力は、移植約40日後の株の草冠短径・長径および草高から算出する水稲の空間占有体積によって評価できる。
- 担当:東北農業試験場・水田利用部・雑草制御研究室(東北農業研究センター・水田利用部・雑草制御研究室)
- 連絡先:0187-66-2771
- 部会名:水稲
- 専門:雑草
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
水稲作の除草剤使用量の低減を図る上では、雑草に対して強い競争力を有する水稲品種の育成とその利用が有効な手段となる。水稲品種の抑草力の評価手法を開発するために、草型の異なる水稲品種と最強害雑草であるタイヌビエとの混植栽培を行い、水稲形質とタイヌビエ生育量との関係を解析した。
成果の内容・特徴
- タイヌビエの生育量は水稲品種の草型によって異なり、その生育は長稈型品種と開張型品種の群落内において強く抑制される。水稲品種の抑草力を評価する指標として、移植約40日後の水稲株の草冠短径・長径および草高から算出する空間占有体積を考案した(図1)。
- 草型の異なる水稲6品種を供試し、成熟期のタイヌビエ乾物重と水稲単植区の生育期形質等との相関を調べた結果、草高・乾物重・群落内相対光量子量などと比較して空間占有体積との相関係数が最も安定して高く、空間占有体積が評価指標に適している(表1)。
- 多数の品種を供試した場合にも水稲株の空間占有体積と成熟期のタイヌビエ乾物重との間に負の相関が認められることから、空間占有体積によってほとんどの水稲品種のタイヌビエ抑草力を評価できる(図2)。
成果の活用面・留意点
- タイヌビエに対する水稲品種の抑草力を生育期の非破壊計測により簡便に評価できることから、雑草に強い水稲品種の育成に活用できる。
- 稚苗移植栽培において移植約1週間後以降に発生したタイヌビエを対象とする。
- 少肥条件ではやや精度が劣る。
- 空間占有体積が群落内の光環境を反映しない「合川1号」など適用できない品種もある。
- 東北以外の地域に適用する場合には栽培条件と測定時期の検討が別途必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:水田雑草の耕種的・生物的防除法の開発
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成12年度(平成7~12年)
- 研究担当者:橘 雅明、渡邊寛明
- 発表論文:草型の異なる水稲6品種とタイヌビエとの競合関係にみられる年次間差異 雑草研究、
45(別)、62-63,2000.