ダイズ成熟種子胚軸を用いた多芽体形成方法
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要約
東北地域で栽培されているダイズ品種の成熟種子胚軸は多芽体形成能を持つ。多芽体は子葉節と胚軸切断面で形成される。胚軸切断面では置床方法とチジアズロン(TDZ)濃度が多芽体形成率に影響を及ぼし、また、品種間差が認められる。子葉節では条件に関わらず多芽体が形成される。
- 担当:東北農業試験場・作物開発部・育種工学研究室
- 連絡先:019-643-3514
- 部会名:生物工学
- 専門: バイテク
- 対象: だいず
- 分類: 研究
背景・ねらい
ダイズの形質転換の材料として、未熟種子、未熟種子由来カルスまたは発芽種子子葉節が用いられる。未熟種子を用いた場合、再生個体の変異発生が、また、発芽種子子葉節を用いた場合、再分化個体がキメラになることが指摘されている。また、いずれの方法も、操作が煩雑で、形質転換効率は著しく低い。そこで、効率的な形質転換系確立のため、操作が簡便と考えられる成熟種子胚軸を用い、効率的な多芽体形成方法を開発する。
成果の内容・特徴
- 東北地域の主要奨励品種及び在来系統の種子を滅菌水に4~6時間浸漬し、種皮、子葉、茎頂を除いた後、胚軸上部の子葉節からの距離が0~1mmと1~2mmの2つの切片を材料として用いた時、多芽体が胚軸の切断面及び子葉節で形成される。
- 胚軸の切断面では、培地に接している切断面より多芽体が形成され、培地の最適TDZ濃度は4~10μMである(表1,2)。また、多芽体形成率はおおすずで高く、スズユタカ、タチユタカでは多芽体は認められない(表3)。
- 子葉節では、置床方法、TDZ濃度、品種に関わらず、多芽体が形成される(表1,2,3)。
成果の活用面・留意点
- 本方法をアグロバクテリウム及びパーティクルガン法による大豆の形質転換植物体の作出のために用いる。
- 東北地域以外の品種系統への適用についてはさらに検討が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:脂肪酸組成改変をめざした油料作物の形質転換系の確立
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成12年度(平成10年~12年度)
- 研究担当者:吉田泰二、山岸紀子、寺内英貴、日高 操
- 発表論文等:ダイズ成熟種子胚軸からの不定芽形成、育種学研究 2(別1):189.2000.