ワックスレス型ナタネの圃場における耐虫性の評価
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要約
「はるの輝」などのワックスレス型ナタネ品種は、無農薬露地栽培の場合、ワックスブルームを有する従来型品種に比べて、コナガ、モンシロチョウ、モモアカアブラムシの発生量が少なく、被害も軽微である。
- 担当:東北農業試験場・地域基盤研究部・害虫発生予察研究室
- 連絡先:019-643-3466
- 部会名:生産環境
- 専門:作物虫害
- 対象: 葉茎菜類
- 分類: 研究
背景・ねらい
植物体表面のエピクチクラワックス層は、本来各種の生物的・非生物的ストレスから植物体を保護する役割を果たしており、害虫からの生体防御にも関与するとされてきたが、近年キャベツなどのワックスレス品種が圃場において耐虫性を示すことが報告されており、この形質の耐虫性品種育種への利用の可能性が示唆されている。そこで、同じアブラナ科作物であるナタネ(Brassica napus)について、東北農試育成の「はるの輝」などのワックスレス型品種の耐虫性について評価した。
成果の内容・特徴
- ワックスレス型2品種(はるの輝、Waxless mutant)と従来型3品種(トワダナタネ、キザキノナタネ、農林16号)のナタネを、盛岡市で5月中旬に露地へ播種し、無農薬で栽培した場合、ワックスレス型品種は従来型品種に比べて、コナガ(図1)、モンシロチョウ、モモアカアブラムシ(図2)の発生量が少ない。
- 7月上旬にワックスレス型および従来型品種の被害程度を比較するとワックスレス型品種は従来型品種と比較して被害が軽微である(図3)。
成果の活用面・留意点
- 本試験では害虫の発生量が多い時期に調査を行うために、一般的なナタネの栽培時期とは異なる時期に栽培している。
- ワックスレス型ナタネの耐虫性は、温室等の閉鎖環境下では効果が認められないことがある。また、コナガ、モンシロチョウ、モモアカアブラムシにワックスレス型品種を餌として与えて飼育した場合、従来型品種と同等の発育を示すことから、耐虫性のメカニズムには野外条件に特有の要因が関与していると考えられる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:動物・昆虫の食性に対する植物の防御機構と化学物質との関連性の解明
- 予算区分:重点基礎
- 研究期間:平成10年
- 研究課題名:アブラナ科植物における耐虫性の探索と機構解明
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成12年度(平成11~15年)
- 研究担当者:高篠賢二、野田隆志、石田正彦、榊原充隆
- 発表論文等:ワックスレス型アブラナ科植物に見られる耐虫性、植物防疫、54(2)、49-53、2000など.