生育に伴う飼料成分の変化で牛の嗜好性が変わらないシバムギの特性

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要約

シバムギは生育ステージの進行に伴う低消化性成分の蓄積が少ないため、牛による嗜好性が低下しにくく穂ばらみ期から結実期まで変化が小さい。

  • 担当:東北農業試験場・草地部・草地管理研究室
  • 連絡先:019-643-3562
  • 部会名:畜産(草地)
  • 専門: 飼育管理
  • 対象: 牧草類
  • 分類: 指導

背景・ねらい

従来の寒地型牧草を主体とする放牧草地において、粗放な利用管理条件下では未利用の残草が生じやすく、これに起因する植生や品質の悪化が問題になっている。シバムギは1番草の出穂期以降においても採食性がよいことが観察されており、粗放管理条件下の放牧草地でも比較的良好な植生を維持できる草種と考えられる。そこで、シバムギの1番草の生育に伴う飼料成分の変化と家畜採食量の関係についてオーチャードグラスと比較検討する。

成果の内容・特徴

  • シバムギの穂ばらみ期から結実期までの生育に伴う酸性デタージェント繊維(ADF)、中性デタージェント繊維(NDF)、総繊維(OCW)及び低消化性繊維(Ob)など低消化性成分含量の増加はオーチャードグラスに比べ小さい(表1)。
  • 採食速度法による牛の生草採食量は、生育が進むに伴いオーチャードグラスでは急激に低下するがシバムギはほとんど変化しない。TDN摂取量でも同様の傾向である(図1)。
  • 以上のことから、シバムギは利用が遅れた場合でも低消化性成分の蓄積が少ないことから、牛の嗜好性が穂ばらみ期から結実期まで安定しており、粗放な管理条件下での放牧草地に適した草種と考えられる。

成果の活用面・留意点

  • シバムギを粗放管理条件下の放牧地で利用する際の参考となる。
  • シバムギは畑作地帯では強害雑草になることに留意する。

具体的データ

表1.シバムギとオーチャードグラス(OG)1番草飼料成分の時期的変化

 

図1.シバムギとオーチャードグラス1番草における牛の生草採食量及びTDN摂取量

 

その他

  • 研究課題名:肉用種繁殖牛のための草地の安定利用技術の開発
    -繁殖牛に適する草種の評価とその放牧管理法-
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成12年度(平成6~13年度)
  • 研究担当者:八木隆徳、目黒良平、福田栄紀
  • 発表論文等:シバムギの飼料成分およびその成熟に伴う変化特性、日本草地学会誌 46(別)、224-225、2000