時系列データを用いた米価の予測モデル
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要約
米(新潟産コシヒカリ)の価格変動を予測するモデルを作成した。取引数量データが入手できない場合であっても価格データ以外に政府在庫データを利用することで予測精度を向上させることができる。
- 担当:東北農業試験場・総合研究部・動向解析研究室 農業研究センター・経営管理部・経営設計研究室
- 連絡先:019-643-3491 0298-38-8414
- 部会名:経営
- 専門:経営
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
消費者の嗜好が多様化していること、ならびに米の価格形成に市場原理を導入したことを背景として米の価格変動は個別銘柄ごとに異なる動向を示しつつある。そこで、各銘柄ごとに米の価格動向を一定の精度で予測できる時系列モデルを作成した。
成果の内容・特徴
- 米の価格変動を個別の銘柄についてモデル化する場合、取引数量データが入手困難であることを考慮して、価格ならびに政府在庫数量といった入手可能なデータのみ(図1)を用いた米価の予測モデルを作成した。作成したモデルは、新潟産コシヒカリ米価の動向を説明するために、①米価の過去の値だけを用いるモデル(Model-1)、②米価の過去の値と冷害の影響を考慮するための干渉効果(ダミー変数の一種)を用いるモデル(Model-2)、③米価の過去の値と政府所有米月初め在庫の値を用いるモデル(Model-3)、の三種類である。
- 予測モデルの推定期間は1989年10月~1997年12月、データは月別である。
- 作成した三種類のモデルの予測パフォーマンスを比較すると、
(1)推定期間内の予測パフォーマンスは、決定係数ならびに回帰式の標準誤差に基づくモデルの適合度を指標にした場合、Model-2、Model-1、Model-3の順に優れている(表1)。
(2)推定期間外の予測パフォーマンスは、予測誤差の二乗和を指標にすると、Model-3、Model-1、Model-2の順に優れている(表1)。
(3)短期予測へモデルを利用することを想定するならば、モデルは一期先予測に用いられると考えることが妥当である。その場合のモデルのパフォーマンスは、Model-1、Model-2はやや上方に偏りをもつが、在庫を考慮したModel-3は偏りをもたず誤差も最も小さい(図2)。
成果の活用面・留意点
- 米価水準に対応する米価の動向を予測するために用いることが可能である。ただし、説明要因に取引数量を用いないモデルであるため基本的には短期予測用である。価格の時系列データが得られれば他の銘柄についても同様な計測が可能である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:価格変動リスク評価モデルの開発
- 予算区分:特別研究・WTO
- 研究期間:平成12年度(平成10~12年)
- 研究担当者:佐藤正衛、南石晃明
- 発表論文等:時系列分析による米価変動のモデル化、東北農試総合研究(B)、2001.3.