ヒルガオの翌春の乾物生産抑制に及ぼす秋耕の効果

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要約

秋耕を少なくとも2回以上行うと翌年のヒルガオの地上部および根茎の乾物生産は共に抑制される。

  • キーワード:栽培、雑草類、飼料用とうもろこし、ヒルガオ、秋耕、乾物生産
  • 担当:東北農研・畜産草地部・飼料生産研究室
  • 連絡先:019-643-3564
  • 区分:畜産草地、東北農業・畜産
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

秋耕は作物収穫後の耕種的雑草防除として行われる。しかし、飼料用とうもろこし栽培では秋耕は行われないことが多く、冬作の無い栽培体系の場合では冬作物のための耕起も無い。とくにヒルガオは根茎で繁殖する多年生雑草であるため、慣行による制御は難しい。そこで、ヒルガオの蔓延した圃場における秋耕が翌春のヒルガオの乾物生産抑制に及ぼす効果を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ヒルガオの蔓延圃場においてロータリで耕深10cmの秋耕を行う。10月の1回耕起(10月耕起区)、11月の1回耕起(11月耕起区)および10月と11月の2回耕起(2回耕起区)を比較すると、春耕直前の5月15日における発生数は2回耕起区と10月耕起区では対照区よりも多いが、地上部重は両区とも対照区と比べて少ない(図1、図2)。このため個体あたりの地上部重は2回耕起区と10月耕起区では対照区と比べて少ない(表1)。
  • 6月15日における発生数は2回耕起区と10月耕起区では対照区よりも多い(図1)。6月15日における地上部重は2回耕起区では対照区に比べて少ないが、10月耕起区では対照区と有意な差は無い(図2)。個体あたりの地上部重は2回耕起区のみ対照区に比べて少ない(表1)。6月15日の根茎重は2回耕起区のみ対照区よりも小さい(表2)。
  • 以上より、10月と11月の2回の秋耕は翌年の5月15日と6月15日の発生数を減少させることはできないが、個体あたりの地上部重は大きく減少させる。したがって、6月15日には2回耕起区では地上部重は対照区と比べて少ない。さらに、2回耕起区では根茎重も6月15日には対照区と比べて著しく少なく、面積あたりの乾物重は地上部、根茎部ともに2回の秋耕で抑制される。

成果の活用面・留意点

  • 6月15日の発生数、地上部重および根茎重の様相からヒルガオの抑制のための秋耕は1回では効果は無く、少なくとも2回は必要である。
  • 飼料用とうもろこしを栽培する場合は、2回の秋耕に加えて、小さくなった残存個体を除草剤および中耕・培土によって、さらに制御すること。

具体的データ

図1.秋耕が翌年の発生数に及ぼす影響

 

図2.秋耕が翌年の地上部重に及ぼす影響

 

表1.秋耕が翌年の個体あたりの地上部重に 及ぼす影響 表2.秋耕が翌年の根茎重に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:飼料畑における強害植物の蔓延防止技術の開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1997~2001年度
  • 研究担当者:伏見昭秀、魚住 順、田中 治、出口 新
  • 発表論文等:伏見ら(1998年) 雑草研究43(4):312~315.
                      伏見ら(2000年) 雑草研究45(3):214~216.