消費者からみた産地品種銘柄米のイメージと米の購入希望価格
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要約
消費者は、主要10産地品種銘柄米に対して、「買いたい」というイメージと「おいしい」というイメージとをほぼ重ね合わせて抱いている。また、安価なイメージの米と高価なイメージの米のどちらを買うかは、その消費者が米に対して支払っても良いと思っている価格水準によって異なる。
- キーワード:消費者、価格、産地品種銘柄米、プロダクトマップ、購買反応曲線
- 担当:東北農研・総合研究部・動向解析研究室
- 連絡先:019-643-3491
- 区分:東北・経営
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
消費者が各産地品種銘柄米について抱いているイメージを分析し、消費者から見た位置づけを明らかにする。また、各産地品種銘柄米に対する購入意向の違いによって、消費者が受け入れやすい米の価格水準がどのように異なるかを明らかにする。分析対象は、電話帳から無作為2段階抽出した東京都の住民3000名で、郵送による調査を行い592の有効回答を得た(2000年10月、男性34.8%、女性65.2%。年齢は20~30代11.1%、40~50代51.7%、60歳以上37.2%)。
成果の内容・特徴
- 消費者が主要10産地品種銘柄米に対して抱いている「手に入りやすさ」「値段の安さ」「おいしさ」「買いたいか」というイメージの5段階評価結果に基づいて、プロダクトマップを作成した(図1)。図から、「買いたい」=「おいしい」とほぼ同義となっていることがわかる。また、新潟県産コシヒカリは「おいしい」というイメージが非常に強く、秋田県産あきたこまちは「おいしくて安価かつ入手容易」、長野県産コシヒカリは反対に「入手困難かつ高価」というイメージが抱かれていることがわかる。
- 次に、消費者が米一般を購入するときに想定する「高すぎて買わない値段」および「安すぎて買わない値段」から購買反応曲線を求めたところ、購買確率が最も高くなる価格水準(=消費者が最も受け入れやすい価格水準、以下、購入希望価格)は10kgあたり4300円となった(図2)。これを、各産地品種銘柄米に対する「購入意向あり」と購入意向なし」に分けて算出すると(表1)、秋田県産あきたこまちや北海道産きらら397など、比較的安価なイメージのある産地品種銘柄米については、「購入意向あり」に比べ「購入意向なし」の方が購入希望価格は高く、新潟県産コシヒカリや富山県産コシヒカリなど、比較的高価なイメージのある産地品種銘柄米については、「購入意向あり」よりも「購入意向なし」の方が購入希望価格は安い。すなわち、比較的高い購入希望価格を持つ消費者は安いイメージの米を買わず、比較的安い購入希望価格を持つ消費者は高いイメージの米を買わないと考えることができる。
- 以上のことから、消費者は「買いたい米」=「おいしい米」と考えており、消費者の希望する価格水準によって、安いイメージの米を買いたいと思うか高いイメージの米を買いたいと思うか異なっていることがわかる。したがって、産地品種銘柄米の販売戦略を検討する上で、おいしさのアピールとともに価格に対するイメージにも配慮することが重要である。
成果の活用面・留意点
- 産地品種銘柄米のイメージおよび購入意向別の希望価格は、今後の販売戦略を立案する際の参考とすることができる。
- 購買反応曲線を算出する際には、「安すぎて買わない値段」に対する無効回答の取扱いについて留意する必要がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:消費者選好からみた米の品種間価格差の要因分析
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:磯島昭代