水稲の栽培管理を支援する簡便な発育予測モデル
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要約
水稲冷害早期警戒システム用に活着後から成熟期までを一貫して予測する発育モデルを開発した。このモデルは水稲の主要な発育ステージを比較的高い精度でリアルタイムに予測でき、栽培管理の意思決定支援に利用できるため、配布用に市販の表計算ソフト上で簡易に動作するものも作成した。
- キーワード:水稲冷害早期警戒システム、発育モデル、リアルタイム、栽培管理、意思決定支援
- 担当:東北農研・地域基盤研究部・連携研究第1チーム
- 連絡先:019-643-3408
- 区分:東北農業・水稲
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
水稲冷害早期警戒システムでは、東北全域の気象と水稲生育状況を監視し、被害診断および対策技術を策定している。このような遠隔多数地点の発育ステージを監視するには、アメダスデータを利用して移植後から成熟期までの発育ステージを追跡できるモデルが必要である。
そこで、主稈葉齢進度モデル、幼穂の発育モデル、玄米の発育モデルを開発し、活着後から成熟期までの発育ステージを監視するとともに、発育予測情報としても提供している。この情報は栽培管理の意思決定に活用できることがモニターによって評価され、また閲覧者の中にはこれらのモデルを自分で使ってみたいという要望も多いため、これらのモデルを統合して市販の表計算ソフト上でも利用できるようにした。
成果の内容・特徴
- 本モデルは主稈葉齢進度モデル、幼穂の発育モデル、玄米の発育モデルの3つを幼穂形成期と出穂期の2時期で切り替えて活着後から成熟期まで利用できる。(図1)
- 主稈葉齢進度モデルでは穂首分化期、幼穂形成期、減数分裂期を、幼穂の発育モデルは減数分裂期、出穂期を、玄米の発育モデルは成熟期をそれぞれリアルタイムに予測できる。
- 基本設定メニューに、アメダス地点、予測開始日、開始日の葉齢、主稈総葉数を入力するだけで、準平年と当該年の結果を比較することができる(図2)。早期警戒システムにおける71アメダス監視地点、あるいはユーザ設定として独自の気温データを使用できる。
- モデルによる予測が生育と適合しない場合は、応用設定メニューで観察した幼穂形成期、出穂期を入力することにより、それ以降の発育ステージが予測できる。
- 本モデルは追肥、深水管理、いもち病防除、刈取等の実施時期の意思決定支援、ならびに障害不稔の発生や遅延型冷害の可能性等の判断に利用できる。
成果の活用面・留意点
具体的データ


その他
- 研究課題名:水稲早期警戒システムの高度化
- 予算区分:協調システム
- 研究期間:2001~2003年
- 研究担当者:神田英司・鳥越洋一・小林 隆
- 発表論文等:1) 神田ら (2000) 日作紀 69(4):540-546