東北地域における帰化雑草ハルザキヤマガラシの繁殖特性
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要約
ヨーロッパ原産の帰化雑草ハルザキヤマガラシは生育場所の耕起や草刈りの有無によって繁殖様式が異なり、転換畑小麦作では種子繁殖、畦畔では栄養繁殖を主体とした生活史を送る。
- キーワード:帰化雑草、ハルザキヤマガラシ、繁殖特性、生活史、耕起、草刈り
- 担当:東北農研・水田利用部・雑草制御研究室
- 連絡先:0187-66-2771
- 区分:東北・雑草
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
我が国の農耕地には様々な帰化雑草が侵入・蔓延し、問題となっているが、ハルザキヤマガラシは東北全県で発生が確認され、水田地帯である秋田県仙北地域においても発生が著しい。我が国では詳細が不明であるハルザキヤマガラシの生態を明らかにするために様々な生育場所において繁殖特性や生活史を調査し、制御技術開発のための参考資料とする。
成果の内容・特徴
- 畦畔におけるハルザキヤマガラシ(図1)は株基部および根部からの再生による個体の割合が高い。一方、小麦畑においてはほとんどが種子からの発生である(表1)。
- ハルザキヤマガラシの根断片は、土中に埋没した条件下や土壌水分が高い条件下では腐敗する割合が高く、萌芽率が低い(図2)。
- ハルザキヤマガラシは春季に花軸を伸長するが、抽苔期から開花期頃に刈り取った場合に6月下旬頃の成熟期の刈り取りや刈り取らない場合に比べて越夏後の生存率が高まる(データ略)。また、刈り取りの回数が多いほど生存率が高くなる傾向を示す(表2)。
- 以上の結果から、ハルザキヤマガラシは耕起が行われる転換畑小麦作では種子繁殖、不耕起で草刈りが頻繁に行われる畦畔では栄養繁殖を主体とした生活史を送り、多様な環境条件に適応している。
成果の活用面・留意点
- ハルザキヤマガラシの繁殖特性に関する知見は効率的な制御技術を開発する際に参考となる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:前作作物残さ被覆による雑草発生抑制効果の解明と被覆技術の開発(一部特研「強害雑草」)
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1993~2003年度
- 研究担当者:橘雅明、伊藤一幸(農環研)、渡辺寛明
- 発表論文等:Tachibana and Itoh (1997) International Workshop on Biological Invasions of Ecosystem
by Pests and Beneficial Organisms Proceedings :282-295