牛の品種及び月齢の差が牛肉の遊離アミノ酸量に及ぼす影響
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要約
と殺1日目の遊離アミノ酸含量を25か月齢の黒毛和種、日本短角種及びホルスタイン種のロース肉で比較するとホルスタイン種が最も多い。また、15,25及び35か月齢で比較すると25か月齢が最も多い。
- キーワード:呈味成分、遊離アミノ酸、牛肉、品種、成長
- 担当:東北農研・畜産草地部・畜産物品質制御研究室
- 連絡先:019-643-3541
- 区分:東北農業・畜産草地、畜産草地・畜産物・品質
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
牛肉の品質評価においては脂肪交雑が高いものが良いとされているが、食肉としての味が十分ではないと言われることがある。食肉の呈味成分のひとつとして遊離アミノ酸が重視されていることから、遊離アミノ酸(FAA)の変動要因を品種及び月齢に分けて調査した。ここでは熟成中に起こる外因的な遊離アミノ酸増加を排除するためにと殺1日目の胸最長筋のFAA量を測定した。また、熟成中におけるFAA増加の原因となるカテプシン及びアミノペプチダーゼ活性を測定した。
成果の内容・特徴
- 月齢が25か月の黒毛和種(n=3)、日本短角種(n=3)及びホルスタイン種(n=3)のと殺1日目のFAA総量(タウリン、カルノシン、アンセリン及び17種のα-アミノ酸)を分散分析により比較した結果、有意差(p<0.01)が認められ、ホルスタイン種が黒毛和種および日本短角種より有意(p<0.01)に多かった(図1)。
- 月齢の違いがFAAに及ぼす影響を日本短角種で調べたところ有意差(p<0.05)が認められ25か月齢(n=3)が15(n=3)及び35か月齢(n=3)よりも有意(p<0.05)に多かった。また、品種を区別せず全頭で計算しても類似した結果であった(図2)。
- 上記1及び2の結果は、粗タンパク質あたりのFAA量で計算しても同様の傾向が認められた。
- 日本短角種の月齢の差及び25ヶ月齢における品種間差がFAAに及ぼす影響について5%水準で有意差検定をした結果、(表1)のような差異が認められた。
- 熟成中にペプチドを増加させるカテプシンB及びLを合わせた活性とペプチドから遊離アミノ酸を生成するアミノペプチダーゼCとHを合わせた活性について子牛(10か月齢)及び肥育牛(27か月齢)で比較すると子牛のアミノペプチダーゼ活性が高かった(図3)。従って、熟成中に肥育の進んだ35か月齢の遊離アミノ酸が急速に上昇することはないと考えられる。
- 以上の結果は筋肉内のFAAは成長期に増加することを示唆している。
成果の活用面・留意点
- 遊離アミノ酸量が最大となる月齢は本研究成果からは予測出来ない。
具体的データ




その他
- 研究課題名:1)日本短角種の食肉としての品質特性の解明
2)筋肉内プロテアーゼの作用に関する研究
- 予算区分:1)地域総合、2)経常
- 研究期間:1)1997~2001、2)1999~2001年度
- 研究担当者:渡辺彰、上田靖子、篠田満、甫立孝一、新宮博行、櫛引史郎