コゴミの活性酸素消去成分
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要約
東北地域の代表的な山菜であるコゴミ(クサソテツMatteuccia struthiopteris(L.)Todaro)は強い活性酸素消去能を有する。有効成分はクロロゲン酸と新規物質L-O-カフェオイルホモセリンである。
- キーワード:コゴミ、活性酸素種、生活習慣病、クロロゲン酸、山菜
- 担当:東北農研・作物機能開発部・加工利用研
- 連絡先:024-593-6178
- 区分:東北農業・流通加工
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
スーパーオキサイドアニオン、ヒドロキシルラジカルなどの活性酸素種は老化や、動脈硬化、ガンなどの生活習慣病を引き起こす原因と考えられている。このため我々が日頃摂取している食物、農産物がもつ活性酸素種を消去する機能に大きな関心が寄せられている。
そこで、東北地域農産物から強い活性酸素種消去能含有するものを見出すことにより、強い活性酸素消去活性を有する農産物を用いての新規需要を生み出すことをねらう。
成果の内容・特徴
- 野菜、山菜等の中で、コゴミは非常に強い活性酸素消去能を持っており、その活性酸素消去成分は、クロロゲン酸および、アミノ酸の一種であるL-ホモセリンのγ-水酸基とカフェ酸とがエステル結合した新規物質L-O-カフェオイルホモセリンである。(図1)
- クロロゲン酸およびL-O-カフェオイルホモセリンはコゴミをメタノールなどの溶媒で抽出することによって得られ、高速液体クロマトグラフィーによって分離あるいは検出することができる。(図2)
- L-O-カフェオイルホモセリンは文献未載の新規物質であり、既知の活性酸素消去物質と同等の活性を有し、優れた親水性を示す特性を有している。(図3)
成果の活用面・留意点
- コゴミを食した際、体内の活性酸素の消去が期待される他、活性成分を食品に添加し食品の天然由来の酸化防止剤として期待される。しかしながら本成果は農産物としての活性酸素消去能を示しているため、摂食後の代謝、生体内での機能については未解明である。
- 新規L-O-カフェオイルホモセリンは優れた親水性を示すことから、親油性の活性酸素消去成分との組み合わせにより、より高い効果が期待される。
具体的データ



その他
- 研究課題名:東北地域農産物における抗ラジカル成分の生体への効果
- 予算区分:食品成分
- 研究期間:2000~2002 年度
- 研究担当者:木村俊之、鈴木雅博、山岸賢治、新本洋士
- 発表論文等:(1)木村俊之、山岸賢治、鈴木雅博、新本洋士;コゴミのラジカル消去成分について
日本農芸化学会2000年度大会講演要旨集p.64(2000)