切り穂噴霧接種による穂いもち圃場抵抗性検定で障害となる赤かび病の発生抑制
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要約
チオファネートメチル剤を同剤耐性イネいもち病菌分生胞子懸濁液に混和することで、切り穂噴霧接種法で障害となる赤かび病の発生を抑制し、イネ品種・系統の穂いもち圃場抵抗性を検定できる。
- キーワード:イネ、穂いもち圃場抵抗性検定、切り穂噴霧接種、チオファネートメチル、耐性菌、赤かび病防除
- 担当:東北農研・水田利用部・上席研究官、水田病虫害研究室
- 連絡先:電話0187-66-1221、電子メールskoizumi@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・病害虫
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
イネ品種・系統の穂いもち圃場抵抗性検定法として気象や分布レース等の影響を受ける本田検定の替わりに切り穂噴霧接種法を考案した(小泉ら, 2000)。しかし、この検定法では切り穂に赤かび病が発生し、検定の障害となっている。そこで、この障害を取り除く方法を検討した。
成果の内容・特徴
- 切り穂噴霧接種によるイネ品種の穂いもち圃場抵抗性検定では、一部の切り穂に赤かび病が発生し、検定が不能となる(図1、図2)。
- イネいもち病菌株稲86-137(レース007.0)の分生胞子を殺菌灯下に7分間置くことで、チオファネートメチル(TM)に対する高度耐性菌(最小生育阻止濃度(MIC)値1000ppm以上、母菌同値10ppm未満)が得られた(表1)。
- このTM耐性菌の分生胞子懸濁液にTM70%水和剤を1000倍となる様混和して切り穂に噴霧接種すると赤かび病の発生が抑制され(図2)、イネ品種・系統の穂いもち圃場抵抗性が検定できる(図3)。
成果の活用面・留意点
- TM耐性菌は一般圃場に出ない様注意して管理する。
- 発病が中程度の場合、評価が振れることもあるので留意する。
具体的データ




その他
- 研究課題名:穂いもち圃場抵抗性系統の評価と遺伝解析
- 予算区分:21世紀プロ5系
- 研究期間:2001~2002年度
- 研究担当者:小泉信三、善林 薫、芦澤武人