青森県におけるリンゴわい化普及の地域的条件
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要約
リンゴ作縮小期である、1990年代における青森県のわい化栽培面積と地域条件との統計分析をした結果、規模条件の影響が大きくなっている。これは、平均リンゴ作規模によって生じる地域間のリンゴ作の縮小傾向の差が背景となっていると推測できる。
- キーワード:リンゴ、わい化栽培、地域条件、統計分析、普及、青森県
- 担当:東北農研・総合研究部・経営管理研究室
- 連絡先:電話019-643-3492、電子メールhasecho@affrc.go.jp
- 区分:東北農業・共通基盤(経営)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
わい化栽培は、リンゴ作において“中核的技術革新”とされる重要な技術であるが、その普及に関する研究はリンゴの拡大期である1980年代を最後になされていない。そこで、わい化栽培の現代的な意義を捉え、新たなわい化栽培の開発・改良に資するため、リンゴの縮小期である1990年代における青森県を対象に、普及要因分析の先行的分析として、普及実態と地域条件について統計分析をした。
成果の内容・特徴
- わい化栽培面積の上位3県について、わい化栽培の普及過程をみると、1995年以降、わい化率の低い青森県でわい化栽培面積の増加が顕著である(図1)。
- 青森県の主要リンゴ産地(29市町村)を対象に、わい化栽培面積と地域条件との関係を1990年、1995年、1999年の3時点において弾力性分析した結果、1990年では積雪条件、単収水準条件、担い手条件の3要因が有意となり、1995年では積雪条件、規模条件、担い手条件の3条件が有意となり、1999年では、積雪条件、単収水準条件、規模条件、担い手条件の4要因が有意となった。3時点を通してみると、規模条件の影響が大きくなっている(表1)。
- 規模条件の弾力性が、わい化面積増加傾向が顕著な1995年以降変化しているかみるために、1999年の規模条件のダミー変数を設定し、全期間をプールして分析した結果、ダミー変数は有意となった(表2)。このため、1995年以降、わい化面積に対する規模条件の影響はより顕著となったといえる。
- わい化栽培には省力効果があることから、一般的に大規模経営ほど導入されると考えられる。対象とした縮小期に特に顕著になったのは、平均リンゴ作規模の大きい地域では新たな展望を求めてわい化栽培を導入したのに対し、平均リンゴ作規模の小さい地域では面積縮小傾向が顕著で、リンゴ作からの離脱傾向を強めており、わい化栽培導入が困難であったためと考えられる。
成果の活用面・留意点
- 本成果は、わい化栽培の普及動向を統計分析により実証したものであり、普及要因の解明には異なるアプローチが必要である。
- 青森県はわが国のリンゴの約半分を生産する主産県のため、そのわい化栽培普及動向を示すことにより、リンゴ作の展開の一面が捉えられる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:リンゴわい化栽培の普及要因の解明
- 予算区分:リンゴ
- 研究期間:2000~2004年度
- 研究担当者:長谷川啓哉、角田毅、藤森英樹、澤田守、折登一隆、金岡正樹