無エルシン酸で低グルコシノレートのなたね新品種「キラリボシ」

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要約

なたね「キラリボシ」は子実中にエルシン酸を含まず、かつ低グルコシノレートの品種である。成熟期は「アサカノナタネ」並の中生で、「アサカノナタネ」に比べて多収で、菌核病抵抗性、耐倒伏性および寒雪害抵抗性に優れる。

  • キーワード:なたね、新品種、無エルシン酸、低グルコシノレート
  • 担当:東北農研・作物機能開発部・資源作物育種研究室
  • 連絡先:電話019-643-3655、電子メールyamamori@affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

なたね油粕中のグルコシノレートは分解すると家畜に対し毒性を示すとされ、カナダから輸入するなたね(カノーラ)は低グルコシノレートとなっている。日本品種のなたね油粕はもっぱら肥料として利用されており、グルコシノレートを含んでいる。そこで、国産なたねの多用途化を図るため、カノーラ(グルコシノレート20マイクロmol/g以下、エルシン酸1%以下)と同様にグルコシノレート含量が低く、かつエルシン酸を含まないいわゆるダブルロー系統のなたね品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 無エルシン酸で低グルコシノレート品種の育成を目標に、耐倒伏性が強く多収の「盛系188」を母に、無エルシン酸で低グルコシノレートの「KARAT」を父として1988年度に人工交配を行い、以後、系統育種法により、選抜・固定を図り、育成した品種である。2001年度における世代は雑種第12代である。
  • 育成地において成熟期は「アサカノナタネ」と同程度の中生で、「アサカノナタネ」に比べて多収であるが、「アサヒナタネ」よりやや低収である。
  • 子実中にエルシン酸を含まず、かつ低グルコシノレートのダブルロー品種である。
  • 「アサカノナタネ」に比べて、菌核病抵抗性、耐倒伏性および寒雪害抵抗性が強い。
  • 千粒重は「アサカノナタネ」並で、粒大整否は良い。
  • 含油率は「アサカノナタネ」よりやや高いが、「アサヒナタネ」よりはやや低い。

成果の活用面・留意点

  • 東北地方南部の栽培に適する。
  • 他の品種やなたねと交雑可能なアブラナ科作物とは充分距離を離して栽培する。
  • 種子は無エルシン酸・低グルコシノレートが維持されているものを使用する。
  • 越冬前の生育量を充分確保するために、適期播種を励行する。
  • 過度の密植、多肥栽培は倒伏や菌核病の発生を、連作は根こぶ病などの連作障害の発生を招く恐れがあるので避ける。

具体的データ

表1 なたね「キラボシ」の特性一覧

その他

  • 研究課題名:なたね新品種の育成、ナタネ無エルシン酸・低グルコシノレート品種の育成
  • 予算区分:交付金、新需要創出
  • 研究期間:1988~2001年度
  • 研究担当者:山守誠、加藤晶子、由比真美子、石田正彦、千葉一美、奥山善直、遠山知子、田野崎真吾、
                      菅原俐、遠藤武男、柴田悖次