大麦をリビングマルチとして利用した大豆の無中耕栽培
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要約
秋播き性の高い大麦をリビングマルチとした大豆栽培では、無中耕・無除草剤でも抑草効果が高く、大豆の最下着莢主茎節高が高まって機械刈り取り適性が向上する。
- キーワード:リビングマルチ、大豆、無中耕、無除草剤、大麦
- 担当:東北農研・畑地利用部・作付体系研究室
- 連絡先:電話024-593-5151、電子メールjuten@affrc.go.jp
- 区分:東北農業・畑作物、共通基盤・総合研究、作物・夏畑作物
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
大豆の安定生産のためには中耕・除草が必要であるが、東北地域では中耕適期が梅雨時期に当たる等の理由から中耕が行われないケースもあり、これが大豆収量を下げる一因となっている。そこで、大麦と大豆を同時播種(大麦リビングマルチ)し、大麦の被覆などにより雑草を防除することで、無中耕で大豆を省力的に栽培する技術について検討する。
成果の内容・特徴
- 大豆と同時に大麦(品種=べんけいむぎ等の秋播き性の高いもの)を30cm間隔で条播する(播種量=8kg/10 a)。5月下旬播種の場合、大麦は7月上旬頃(写真)から黄化しはじめ、8月上旬にはほぼ枯死する。
- 大麦リビングマルチ栽培では、放任栽培に比べ雑草乾物重が少なく、無中耕・無除草剤でも抑草効果は高い(表1)。
- 大豆の収量は慣行栽培の80%程度以上となる(図1)。最下着莢主茎節高は慣行栽培より高く、機械刈り取り適性が向上する(表2)。
成果の活用面・留意点
- 大豆の無中耕栽培における省力・環境保全的雑草防除手法として有望である。
- 播種時期や優占雑草種の違いにより抑草効果は異なる。特に、オオイヌタデに対する抑草効果は低い。
- 大豆の生育初期が徒長気味に推移すること等から、耐倒伏性の強い大豆品種を利用するのが望ましい。
- 本成果は畑作大豆を対象にしたものであり、水田転作大豆への適用については検討を要する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:大麦をリビングマルチとする大豆の無中耕・無除草剤栽培技術の開発
- 予算区分:所特定(東北農研)
- 研究期間:2001~2002年度
- 研究担当者:三浦重典、小林浩幸、長谷川浩、小柳敦史
- 発表論文等:三浦ら (2002) 日作東北支部報 45:77-78