軟化栽培及び軟化後緑化栽培時のソバ芽生えポリフェノール量
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要約
軟化栽培したソバ芽生え、及び発芽後2日間軟化栽培しその後光照射し緑化したソバ芽生えには、C-グリコシルフラボンが露地栽培以上に豊富に含まれる。光照射によりアントシアニンが集積するとともに、黄化子葉が緑化しながら展開し、殻が脱落する。
- キーワード:ソバ、芽生え、軟化栽培、軟化後緑化栽培、フラボノイド、アントシアニン
- 担当:東北農研・作物機能開発部・品質評価研究室
- 連絡先:電話019-643-3513、電子メールwata@affrc.go.jp
- 区分:東北農業・流通加工、共通基盤(総合研究)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
露地栽培したソバ幼植物のポリフェノール量は生育期間中で最も多く、ルチン以外にも4つのC-グリコシルフラボン化合物(オリエンチン、イソオリエンチン、ビテキシン、イソビテキシン)が豊富に含まれることを明らかにしている。今回は、ソバ植物の野菜としての主要な利用形態である軟化栽培時の芽生え(子葉の存在する幼植物)に含まれる、フラボノイド化合物及びアントシアニン量の発芽後の変動を明らかにする。
成果の内容・特徴
- ソバ(信濃1号)種子を遮光下25℃で発芽後、生育促進のため引き続き遮光下で48時間生育し、この後2つの条件で栽培した。即ち、さらに72時間(計120時間)遮光下での栽培(以下、軟化栽培)と、同時間、光照射(白色蛍光灯、3500 lux)(以下、軟化後緑化栽培)した栽培とを行った。両条件で栽培した芽生えメタノール抽出物に含まれるC-グリコシルフラボン化合物量は、軟化栽培時には発芽後4日目、発芽後2日目から光照射した軟化後緑化栽培時には光照射24時間後の3日目に最大となり(各々5089mg、4425mg)、軟化栽培の方が高含量となる(図1A)。これに対しルチン量は、軟化後緑化栽培の方が軟化栽培よりも多くなる(各々525mg、389mg)(図1B)。
- 露地栽培時では、生育期間中最もフラボノイド量が多いのは発芽後1日目(1756mg)であるが、軟化栽培よりも少なく、生育につれさらに低下する(図1A)。一方、露地栽培のルチン量は発芽後10日目に最大(986mg)になり、軟化後緑化栽培より高含量となる(図1B)。
- 発芽後2日目から72時間の継続的な光照射によりアントシアニン量は増加し(図2)、茎が赤色化する。この時、同時に黄化子葉が緑化しながら展開し、殻が脱落する。
- ソバ芽生えの長さは軟化栽培では発芽後継続して増加するが、緑化した場合には、増加が抑制される(図3)。
成果の活用面・留意点
- ソバ芽生えを機能性食品素材として利用する際の資料となる。
- 露地栽培では発芽後4日目から本葉が展開・拡大し始める。
- 品種により発芽までの時間、生長量等に関し差異があるものと推定される。
具体的データ


その他
- 研究課題名:ソバ品種の抗酸化活性の評価および高活性ソバ製品の試作
- 予算区分:寒冷気象利用
- 研究期間:1999~2003年度
- 研究担当者:渡辺 満
- 発表論文等:1)渡辺・伊藤(2002)日食科工 49(2):119-125.
2)渡辺・伊藤(2003)日食科工 50(1):32-34.