市販ロータリを用いた有芯部分耕による転換畑大豆作の収量性向上

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要約

市販ロータリ耕起爪の一部の取り外しや付け替えにより、播種条直下に不耕起部分を残した有芯部分耕が可能となる。水稲後作の大豆作では、不耕起部の土壌含水率の変動が小さいために過湿や過乾燥になりにくく、生育の促進により収量性が向上する。

  • キーワード:ダイズ、有芯部分耕、転換畑、不耕起
  • 担当:東北農研・水田利用部・栽培生理研究室
  • 連絡先:電話0187-66-1221、電子メールyosinaga@affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・畑作物、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

東北の日本海側では夏季の日照に比較的恵まれるために、開花期までの大豆の生育を安定化させることにより品質安定・多収が可能となるが、転換畑の大豆栽培では生育前期の湿害や開花期の乾燥害などが品質・収量の不安定化要因となっている。本課題では、耕起法の改善により転換畑大豆作における大豆の品質安定化・多収化技術を確立することを目的とする。

成果の内容・特徴

  • 一般栽培で用いられているロータリの播種条に相当する部分の爪を外した後、残った爪の一部の向きを変えることにより、播種条直下に不耕起部分を残した有芯部分耕が可能となる(図1)。
  • 有芯部分耕を実施する時の砕土率は全層耕起と比較して低下するが、有芯部分耕において出芽に好適な砕土率80%を得るには逆転ロータリを用いると作業速度が高められる(図2)。
  • 有芯部分耕栽培における不耕起部分は慣行栽培の全層耕起部分と比較して、土壌乾燥時には含水率が高く、湿潤時には含水率が低く推移し、含水率の変動が小さいという特長を有する(図3)。
  • 有芯部分耕栽培では慣行の全層耕起栽培と比較して生育が促進され、開花期が1~2日早まる(データ省略)とともに、開花期までの生育量が増大する(表1)。
  • 有芯部分耕栽培では生育量の増大により莢数が増加し、収量性が向上する(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 一般栽培で用いられているロータリが使用可能なため、低コストで栽培法の改善が可能である。
  • 土壌の透水不良が問題となる水稲後の転換初年目の転換畑へ導入することにより、収量の安定化が期待される。
  • 播種後の除草剤散布や中耕・培土は慣行法同様に実施する。

具体的データ

図1 有芯部分耕のロータリ爪配置(上)および耕起 条件図2 ロータリおよび耕起法が作業速度と砕土率に及ぼす影響.

図3 耕起法と土壌含水率との関係.

表1 耕起法が開花期の生育および収量に及ぼす影響.

 

その他

  • 研究課題名:積雪地転換畑における高品質大豆の省力・低コスト栽培技術の確立
  • 課題ID:05-02-12-*-10-04
  • 予算区分:ブラニチ2系
  • 研究期間:2003~2004年度
  • 研究担当者:吉永悟志、長田健二、福田あかり
  • 発表論文等:吉永ら (2004) 日作紀 73(別1):70-71.