ベンタゾン液剤による東北地域ダイズ主要品種の初期薬害と収量への影響

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要約

ベンタゾン液剤による東北地域ダイズ主要品種の薬害程度は品種によって大きく異なる。感受性の高いタチユタカの初期薬害は、処理後2日間の日照時間が長いほど強くなり、処理3週間後の生育抑制率が60%以上の場合、25%以上の減収が見込まれる。

  • キーワード:ダイズ、雑草、ベンタゾン、薬害、日照時間、減収
  • 担当:東北農研・水田利用部・雑草制御研究室
  • 連絡先:電話0187-66-2771、電子メールtachiba@affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・畑作物
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ダイズ生育期の広葉雑草対象除草剤であるベンタゾン液剤の薬害については品種間差があることが知られている。しかし、東北地域の現行栽培品種について同剤の薬害に関する情報は十分ではない。そこで本研究では、ベンタゾン液剤が大豆を適用作物として農薬登録されることを想定した上で、適切な利用に資する知見を得るために、東北地域の主要品種を含むダイズ24品種を用いてベンタゾン液剤による初期薬害や収量への影響の程度、また薬害の発生と気象条件との関係を調査した。

成果の内容・特徴

  • ベンタゾン液剤によるダイズ品種の薬害程度は、枯死する個体も見られる「大」レベルの品種から、初期薬害の平均が20%以上で平均減収率が10%以上の「中」レベルの品種、初期薬害の平均が20%未満で平均減収率が10%未満の「小」レベルの品種まで幅が広い(表1)。東北地域の主要品種については、タチユタカが薬害程度「中」、おおすず、スズカリ、スズユタカ、タチナガハ、ナンブシロメ、ミヤギシロメ、リュウホウなどが薬害程度「小」である(表1)。
  • ベンタゾン感受性の高いタチユタカの初期薬害は、処理後の日照時間および日射量の影響を受ける(表2)。処理日と処理翌日の日照時間が長いほど初期薬害は強くなり、その程度はダイズ5~6葉期処理に比べて2~3葉期処理において大きい(図1)。
  • タチユタカの2~3葉期処理および5~6葉期処理において、処理3週間後の生育抑制率が60%以上の場合、25%以上の減収が見込まれる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • ダイズ栽培でベンタゾン液剤使用の可否および使用方法を、雑草害による減収や手取り除草の労力との関係から決定する際の情報として活用できる。
  • 本成果は、東北地域の秋田県大曲市において得られたものであり、地域によって薬害の程度と収量との関係は異なる可能性がある。

具体的データ

表1 ベンタゾン液剤処理による大豆品種の薬害程度

 

表2 初期薬害と処理後2日間の気象条件との相関係数

 

図1 日照時間と初期薬害との関係 図2 処理3週間後の生育抑制率と収量との関係

その他

  • 研究課題名:大豆の地上部病害、害虫および雑草の発生・被害実態の解明と防除技術の開発
                        (ベンタゾンが大豆の生育に及ぼす影響の解明)
  • 課題ID:05-02-12-*-09-04
  • 予算区分:ブラニチ2系
  • 研究期間:2003~2004年度
  • 研究担当者:橘 雅明、中山壮一、渡邊寛明