イチゴ夏秋どり作型の適用可能地域の抽出
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要約
技術開発過程にあるイチゴ夏秋どり作型について、気温、農地、農業労働力等の制約条件から適用可能地域を抽出して地図上に示すことができる。一季成り性品種の短日処理栽培を個別農家へ導入する場合を想定すると、東北地域の約3割が抽出される。
- キーワード:開発技術、適用可能地域、マッピング、イチゴ夏秋どり、メッシュデータ
- 担当:東北農研・総合研究部・動向解析研究室
- 連絡先:電話019-643-3491、電子メールsugitok@affrc.go.jp
- 区分:東北農業・経営、共通基盤・総合研究、共通基盤・経営
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
我が国における夏秋期イチゴの供給は、その多くが米国等からの輸入であることから、東北地域の冷涼な気象条件を利用した夏秋どり作型の技術開発が進められている。この開発技術の適用可能地域を抽出してマッピングを行う。
成果の内容・特徴
- イチゴ夏秋どり作型の適用可能地域の判定に利用するために、東北6県を対象としてデータベースを整備する。データのフォーマットはメッシュ形式であり、データの種類は、平均気温(メッシュ気候値2000、気象庁)、土地利用(国土数値情報土地利用メッシュL03-09M、国土交通省)、農業就業者数(平成12年国勢調査地域メッシュ統計、(財)統計情報研究開発センター)である。データベースは、3次メッシュ区画(1区画約1平方km)に統一する(表1)。
- 適用可能地域の抽出方法は、生産技術の特徴を一季成り性品種の短日処理試験栽培結果と東北6県を対象としたイチゴ生産者アンケート調査結果から定式化して判定条件とする。ただし、開発過程にある技術であることを考慮して、適用可能地域の判定条件はシナリオとして提示する。
- 想定するシナリオは、一季成り性品種の短日処理試験栽培結果から7月の平均気温が23℃以下であること、生産者アンケート調査結果からイチゴ夏秋どり作型をすでに導入している農家129戸の1戸当たり平均イチゴ栽培面積(=15a)、同農業労働力(=2.8人)、であることから、個別農家への導入を想定した場合(シナリオ1)は、「7月平均気温≦23℃ かつ 農地面積≧15a かつ 農業就業者≧2.8人を満たすメッシュ」となる。また、産地形成に必要な最少農家戸数は10戸であることから、限定的に産地形成を想定した場合(シナリオ2)は、「7月平均気温≦23℃ かつ 農地面積≧150a(=15a×10戸)かつ 農業就業者≧28人(=2.8人×10戸)を満たすメッシュ」となる(表2)。
- この判定条件と資源データベースを利用して、3次メッシュ区画ごとに判定を行い、イチゴ夏秋どり作型の適用可能地域を抽出して地図に表示した結果、東北地域内メッシュ総数68,236個のうちシナリオ1では19,712個(28.9%)、シナリオ2では5,266個(7.7%)が該当する(表3、図1)。
成果の活用面・留意点
- 東北地域全域についての抽出結果を得ることが可能である。
- 技術開発の進捗状況や産地形成条件等の変更により、データ及びシナリオを変更し、適用可能地域の再判定をすることが可能である。
- 表3及び図1は、あくまで想定したシナリオをもとに作成したものである。
具体的データ

その他
- 研究課題名:イチゴ夏秋どり作型の経営的適地のマッピング
- 課題ID:05-04-02-05-33-04
- 予算区分:寒冷地イチゴ
- 研究期間:2003~2004年度
- 研究担当者:杉戸克裕、佐藤正衛、川上秀和
- 発表論文等:1) 佐藤(2004)農業経営研究42(1):39-42.
2) 佐藤・川上(2004)農業経営通信(219):30-33.