配合飼料制限給与または地域自給飼料だけで日本短角種を肥育する技術

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要約

日本短角種の肥育では、配合飼料の給与量を慣行肥育の60%まで制限しても、または配合飼料の替わりに地域内で自給可能な飼料だけを給与しても、牧草サイレージを飽食させれば、慣行肥育と同等の成績の枝肉が生産できる。

  • キーワード:日本短角種、制限給与、自給飼料、枝肉成績、肉用牛、飼料利用
  • 担当:東北農研・総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:電話019-643-3412、電子メールmuramoto@affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・畜産、畜産草地、共通基盤・総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

我が国の牛肉生産では、輸入飼料を原料とする配合飼料の多給による肥育が行われている。これは、配合飼料を多給しても霜降り牛肉になりにくい日本短角種についても同様である。そこで、飼料自給率の高い方法で日本短角種の肉を生産するため、岩手県生産技術体系(日本短角種肥育)の技術目標に設定されている650kgを目標体重とし、配合飼料の給与量を制限する肥育技術、または地域内で自給可能な飼料だけで行う肥育技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 配合飼料の給与量を制限し(表1)、配合飼料の摂取量を慣行肥育(配合飼料4トン給与)の約60%に減らしても(表2)、地域内で自給可能な牧草サイレージを飽食させれば、約24カ月齢で目標体重に到達させることができる(表3)。
  • 配合飼料の替わりに、地域内で自給可能なフスマおよびリンゴジュース粕を給与しても(表1)、牧草サイレージを飽食させれば、約26カ月齢で目標体重に到達させることができる(表3)。
  • 配合飼料の給与量を制限する肥育でも、配合飼料の替わりに地域自給飼料を給与する肥育でも、慣行肥育(屠畜月齢24カ月齢、枝肉重量390kg)に比べて枝肉重量は小さいが、慣行肥育と同等のA-2等級相当の枝肉成績が得られる(表3)。
  • 濃厚飼料費は、慣行肥育(172千円)に比べて、配合飼料の給与量を制限する肥育では65千円少なく、また地域自給飼料を給与する肥育ではさらに22千円少ない(表4)。
  • 枝肉1kgの生産に必要な濃厚飼料費は、慣行肥育(441円)に比べて、配合飼料の給与量を制限する肥育では150円少なく、また地域自給飼料を給与する肥育ではさらに59円少ない(表4)。

成果の活用面・留意点

  • 地域の飼料資源を活用して低コストで日本短角種を肥育する際の参考になる。
  • 岩手県岩泉町で生産された各4頭の日本短角種去勢牛(10カ月齢、253kg)を肥育した結果である。
  • 牧草サイレージは、当センター(岩手県盛岡市)で生産・調製を行ったチモシーのロールベールラップサイレージである。
  • フスマは北東北で生産された南部小麦のフスマであり、リンゴジュース粕は北東北(一部北海道)で生産されたリンゴの絞り粕の乾燥物である。

具体的データ

表1.1日1頭当たりの濃厚飼料給与量

 

表2.飼料摂取量

 

表3.屠畜月齢、屠畜体重、および枝肉成績

 

表4.濃厚飼料費

その他

  • 研究課題名:地域自給飼料多給を主体とする赤肉生産及び肉質制御技術の開発
  • 課題ID:05-01-04-01-13-04
  • 予算区分:日本短角種
  • 研究期間:2002~2006年度
  • 研究担当者:村元隆行、東山雅一、近藤恒夫