日本短角種の肉はメトミオグロビンの生成が遅い
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要約
日本短角種の肉は黒毛和種の肉に比較して、枝肉格付での肉色の評価は低いが、貯蔵中の変色の指標であるメトミオグロビンの生成は遅い。
- キーワード:日本短角種、黒毛和種、肉色、メトミオグロビン、肉用牛、畜産物・品質
- 担当:東北農研・総合研究部・総合研究第2チーム
- 連絡先:電話019-643-3412、電子メールmuramoto@affrc.go.jp
- 区分:東北農業・畜産、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
一般に、日本短角種の肉は黒毛和種の肉に比較して、肉色が悪く、また貯蔵中の変色が速いといわれている。ところが、日本短角種と黒毛和種の肉色を詳細に比較した報告は少ない。そこで、日本短角種と黒毛和種の肉色および貯蔵中の変色の速さを、分光測色計による測定値で比較する。
成果の内容・特徴
- 日本短角種は枝肉格付けでの「肉の光沢」の評価が低い。このことは、日本短角種の肉色の総合評価を下げる主な要因になっている(表1)。
- 日本短角種のロース肉は明度が低い(表2)。このことは、日本短角種の「肉の光沢」の評価を下げる要因になっていると考えられる。
- 貯蔵中の肉が変色するのは、肉の色素である赤色のミオグロビンが酸化され、茶褐色のメトミオグロビンが生成するためであるが、日本短角種のロース肉は貯蔵中のメトミオグロビン生成が遅い(図1)。
- ビタミンEには抗酸化性があり、3.5μg/g以上のビタミンEを含むロース肉では、メトミオグロビンの生成が遅いことが報告されているが、日本短角種のロース肉のビタミンE含量は2.6μg/gであり、また黒毛和種のロース肉との間にも差はみられない(表2)。
成果の活用面・留意点
- 日本短角種の肉の新たな特徴として、試験研究機関だけでなく、生産者、流通業者、小売業者、および消費者へも情報提供される。
- 10カ月齢から市販の配合飼料で肥育を行い、約28カ月齢で屠畜した去勢牛(各14頭)で比較した結果である。
- 牛肉は、メトミオグロビン割合が30%を超えると変色したと判断される。
- 肉の明度およびメトミオグロビン生成の速さに及ぼすビタミンE以外の要因については、今後の調査が必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:地域自給飼料多給を主体とする赤肉生産及び肉質制御技術の開発
- 課題ID:05-01-04-01-13-04
- 予算区分:日本短角種
- 研究期間:2002~2006年度
- 研究担当者:村元隆行、東山雅一、近藤恒夫
- 発表論文等:Muramoto et al. (2004) Asian-Aust. J. Anim. Sci. 17:1303-1308.