不耕起大豆栽培におけるカバークロップとしての冬作大麦の雑草抑制効果

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要約

冬作大麦をカバークロップとして栽培すると、次作の不耕起大豆栽培において雑草を抑制する効果がある。この抑草効果は主として一年生夏雑草の出芽抑制に由来する。

  • キーワード:ダイズ、カバークロップ、不耕起、冬作大麦、一年生夏雑草、出芽抑制
  • 担当:東北農研・畑地利用部・作付体系研究室
  • 連絡先:電話024-593-5151、電子メールkobah@affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・畑作物、共通基盤・雑草
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

東北地方では気象条件の制約から、畑作物は単作となっているが、カバークロップは栽培可能期間が短くても導入しやすく、雑草防除の 他、増収、地力の維持向上等さまざまな観点からその活用が期待される。また、大豆の不耕起栽培では広葉雑草が減少する傾向があるほか、雑草の埋土種子が地 表に集中するため、カバークロップの被陰によって出芽を効率的に抑制できる可能性がある。以上から、東北地方において、カバークロップと不耕起条件を積極 的に活用する省除草剤雑草防除技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • この技術は、大豆の不耕起栽培における雑草抑制を目的として、前作にカバークロップとして冬作大麦を栽培するものである。冬作大麦は未熟な子実を含む地上部全てを大豆の播種時に地表面に刈り敷く。
  • カバークロップに大豆播種時の土壌処理剤または大豆生育期の1回の機械除草(地上部刈取)と組み合わせることで、大豆播種時に茎葉処理剤と土壌処理剤を用いる不耕起栽培と同程度かそれ以上の雑草抑制効果と大豆の子実収量が得られる(図1)。ただし、不耕起栽培を継続すると、効果は不安定になる傾向がある(図1)。
  • カバークロップとしての冬作大麦の抑草効果は、主として一年生夏雑草の出芽抑制に由来する(表1)。
  • 大豆を30cm程度の狭畦栽培とすると、中間管理なしで雑草を抑制し、大豆の子実収量を確保でき、土壌処理剤の併用により効果はさらに高まる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • この研究成果は東北農研畑地利用部(福島市)の黒ボク土の畑圃場で行った試験で得られたものである。
  • 大麦を十分に(地上部風乾重で800g/m²程度以上)生育させることと、土壌を極力攪乱せずに大豆の種子を確実に土中に播種し、苗立ちを確保することが雑草防除を成功させる上で重要である。
  • 不耕起栽培の継続による抑草効果の不安定化は、大麦播種時の耕起で回避できる可能性がある。

具体的データ

図1 カバークロップを用いて大豆を3年連続不耕起栽培した場合の雑草量と大豆の子実収量 表1 カバークロップ体系による主要な一年生夏雑草の出芽数の抑制 図2 大豆の不耕起栽培で大豆狭畦化した場合にカバークロップと除草剤が雑草量と大豆の子実収量に及ぼす影響

 

その他

  • 研究課題名: カバークロップを活用した無除草剤不耕起大豆栽培技術の開発
  • 課題ID: 05-03-01-01-14-05
  • 予算区分: 委託プロ(生物機能)
  • 研究期間: 2001∼2005年度
  • 研究担当者: 小林浩幸、小柳敦史、三浦重典
  • 発表論文等:
    1) Kobayashi et al. (2004) Weed Biol. Manag. 4 (4):195-205.
    2) 小林・小柳 (2005) 雑草研究 50 (4): 284-291.