寒締めでホウレンソウの硝酸含量は低下する

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要約

ハウス内温度を低く保つ寒締め栽培は、ホウレンソウの糖度を上げるとともに硝酸含量を低下させるのに有効である。収穫前の地温とホウレンソウの硝酸含量は正の相関を示す。一方、地温とシュウ酸含量には明確な相関がなく、糖度のようには増加しない。

  • キーワード:   ホウレンソウ、寒締め、硝酸含量、シュウ酸含量、糖度、地温
  • 担当:東北農研・地域基盤研究部・土壌環境制御研究室
  • 連絡先:電話019-643-3464 、電子メールaoki@affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・生産環境(土壌肥料)、共通基盤・土壌肥料
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ハウスを開放し、収穫前のハウス内気温・地温を低く保つ寒締め栽培により、冬作のホウレンソウ、コマツナなど葉菜類の糖・ビタミン 含量は高まるが、品質にとって負の要因となる硝酸やシュウ酸含量の変動についても明らかにする必要がある。良食味・高栄養に加え、硝酸及びシュウ酸含量の 低い高品質野菜の栽培技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 寒締めホウレンソウ(品種名まほろば)の糖度は気温・地温の低下する1月から2月にかけて葉身、葉柄とも上昇するのに対し、硝酸含量は低下する(図1)。
  • ハウス開放、密閉に関わらず、収穫前の日平均地温とホウレンソウ地上部全体の硝酸含量は正の相関を示し、温度が低いほど減少する。(図2)。
  • 地温とシュウ酸含量との間には明らかな相関は見られず(図3)、寒締めにより糖、ビタミンのような増加はみられない。

成果の活用面・留意点

  • 寒締めでホウレンソウの硝酸含量を低減するためには、収穫前のハウス内気温・地温を低く保つ管理が有効である。
  • コンバット、リード、朝霧など他の品種でも同じ傾向を確認しているが、硝酸およびシュウ酸の含量はそれぞれ品種により異なる。

具体的データ

図1 ホウレンソウの部位別硝酸含量と糖度

 

図3 地温と地上部シュウ酸含量の関係

 

図2 収穫前地温とホウレンソウ地上部硝酸含量との関係

その他

  • 研究課題名:寒締め野菜の高品質化シナリオの策定と生産支援システムの開発
  • 課題ID: 05-08-02-01-10-05
  • 予算区分: 高度化事業(寒締め野菜)
  • 研究期間: 2003∼2005年度
  • 研究担当者: 青木和彦