日本短角種去勢牛への稲発酵粗飼料の多給は増体を向上させる
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要約
日本短角種去勢牛に、全肥育期間を通して稲発酵粗飼料を飽食量給与すると、牧草サイレージ給与に比べて、少ない濃厚飼料摂取量にも拘わらず、増体と筋肉中の粗脂肪含量が増加する。筋肉中のαトコフェロール含量も増加し保存中の肉の褐色化が抑制される。
- キーワード:飼料イネ、ウシ、日本短角種、肥育
- 担当:東北農研・畜産草地部・栄養飼料研究室
- 連絡先:電話019-643-3543、電子メールcomet@affrc.go.jp
- 区分:東北農業・畜産、畜産草地
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
水田の有効利用と飼料自給率向上のために稲発酵粗飼料の増産と利用の拡大が求められている。黒毛和種牛の肥育では脂肪交雑向上のた
めに肥育中期にビタミンA制御飼養が広く行われており、カロテン含量の高い稲発酵粗飼料の多給は脂肪交雑に影響する可能性がある。しかし、日本短角種の肥
育では仕上がり時の脂肪交雑がそれほど重要視されないため、カロテン含量が高い稲発酵粗飼料であっても良好な嗜好性によって増体および肉質向上の可能性が
ある。そこで日本短角種への稲発酵粗飼料の飽食量給与が増体および肉質に及ぼす効果を実証する。
成果の内容・特徴
- 日本短角種去勢牛に稲発酵粗飼料を飽食量給与して肥育すると、牧草サイレージ飽食量給与に比べて肥育期間中の粗飼料摂取量が増加し、濃厚飼料摂取量が減少する傾向がある(表1)。
- 稲発酵粗飼料を飽食量給与すると肥育期間中の一日当たりの平均増体量は牧草サイレージ飽食量給与に比べて高くなる(図1)。
- 稲発酵粗飼料を飽食量給与された牛では筋肉中の粗脂肪含量が牧草サイレージ飽食量給与に比べて高くなる(図2)。
- 稲発酵粗飼料を飽食量給与された牛では筋肉中のαトコフェロール含量が増加し、保存中の肉色の褐色化が抑制される(図2、図3)。
成果の活用面・留意点
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稲発酵粗飼料を活用した日本短角種の新たな肥育方法の開発に活用できる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:
東北地域向け新品種飼料イネサイレージの品質評価と肥育技術の開発
- 課題ID:
05-05-06-02-11-05
- 予算区分:
委託プロ(ブラニチ3系)
- 研究期間:
2002∼2005年度
- 研究担当者:
押部明徳、渡辺 彰、三津本充(畜草研)、佐々木啓介(畜草研)、因野要一(大阪府)、石塚 譲(大阪府)、村元隆行、樋口幹人、柴 伸弥、新宮博行、嶝野英子、田中 治