東北地域向けの早生稲発酵粗飼料専用新品種「べこごのみ(奥羽飼395号)」
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要約
水稲「べこごのみ」は、熟期が東北地域において早生に属する粳種である。基幹食用品種の収穫前に黄熟期収穫が可能で、耐倒伏性が強く直播適性があり、乾物収量が高いことから東北地域中北部向け稲発酵粗飼料専用品種として利用できる。
- キーワード:飼料イネ、べこごのみ、稲発酵粗飼料、東北地域、早生、直播適性
- 担当:東北農研・低コスト稲育種研究東北サブチーム
- 連絡先:電話0187-66-2773、電子メールwww-tohoku@naro.affrc.go.jp
- 区分:東北農業・水稲、作物
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
飼料イネ栽培において、低コスト化を図るには飼料イネ専用品種を用いることが望ましい。現在までに東北地域で栽培できる稲発酵粗飼料専用品種として、中晩生の「べこあおば」、「夢あおば」が育成されているが、東北地域中北部では熟期がやや遅く、基幹食用品種より早く飼料として収穫することができない。そのため東北地域中北部に適した早生の稲発酵粗飼料専用品種を早期に育成する。
成果の内容・特徴
- 「べこごのみ」は、中生の多収品種「ふくひびき」を母、多収系統「97UK-46」を父として1997年に交配し、その後選抜固定を図ってきた粳種の飼料イネ系統である(表1)。
- 出穂期は「アキヒカリ」より4日、成熟期は1日早く、いずれも“早生の早”に属する。また、黄熟期は「アキヒカリ」と同程度である(表1)。
- 稈長は「アキヒカリ」より長い“中稈”、穂長は「アキヒカリ」より長い“やや長”、穂数は少なく“穂重型”である。また、耐倒伏性は「アキヒカリ」と同程度に強い(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子は“Pib,Pik”を持つと推定され、圃場抵抗性は葉いもちが“強”、穂いもちが“中”である(表1)。耐冷性は“やや弱”であり、穂発芽性は“易”である。
- 黄熟期乾物収量は「アキヒカリ」より移植栽培で6%、直播(表面散播)栽培で9%多収である(表1)。また、TDN含量は60%程度でありTDN収量は、「アキヒカリ」より移植栽培で6%、直播(表面散播)栽培で5%多収である(表1)。
- 玄米収量は「アキヒカリ」より5%多収で、粒大は玄米千粒重が22gで“中”、玄米品質は“下上”である(表1)。
- 「ふくひびき」より移植時期を7~10日遅らせても、「ふくひびき」と同程度かやや早く黄熟期に達する(表2)。
成果の活用面・留意点
- 既存の稲発酵粗飼料専用品種より熟期が早いため、東北地域中北部及びそれ以南において稲発酵粗飼料として利用できる。
- 安定した収量と栄養価を得るために黄熟期に収穫を行う必要がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:直播適性に優れた高生産性飼料用稲品種の育成
- 課題ID:212-a
- 予算区分:エサプロ
- 研究期間:1997~2006年度
- 研究担当者:山口誠之、片岡知守、遠藤貴司、中込弘二、滝田 正、横上晴郁、加藤 浩