気象予測データを基にした農作物被害軽減情報ウェブシステム

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要約

気象観測データおよび予測データを用いて農作物生育予測情報、深水管理情報等の情報を発信するウェブシステムは、GISソフトウェアにより任意の地域の情報を提示し、生産関係者が農業気象災害軽減のための栽培管理を行うことを支援する。冷害等農作物気象災害の被害軽減に役立つ。

  • キーワード:気象予測データ、気象災害、生育予測モデル、GIS、1kmメッシュ、水稲、ホウレンソウ
  • 担当:東北農研・やませ気象変動研究チーム
  • 連絡先:電話019-643-3408、電子メールwww-tohoku@affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・生産環境、共通基盤・農業気象
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

東北地方では、夏季天候の年次変動が1980年代以降大きくなっており、冷夏と暑夏が交互に発生している。そのような不安定な気象条件下では、的確な気象予測に基づいた早期の被害軽減策を施すことが有効である。そこで、気象予測データを基にした農作物被害軽減情報を発信し、冷害等の異常気象による被害の軽減を支援する。

成果の内容・特徴

  • システムはデータベースサーバとウェブサーバとで構成されている(図1)。データベースサーバは、気象予測データおよび1kmメッシュ気象データを筑波計算センターのサーバから毎日自動で取得し、水稲およびホウレンソウの生育予測モデルを計算する。ユーザーはウェブサーバから各種情報をGISソフトウェアベースで閲覧できる。
  • ウェブサイトのURLはhttp://www.reigai.affrc.go.jp/である。「水稲情報」アイコンは暖候期の水稲被害軽減情報サイトへ、「寒締め菜っぱ情報」アイコンは寒候期のホウレンソウ生育予測関連情報サイトへリンクしている。それぞれのサイトへは、IDおよびパスワードを入力することでログインすることが出来る。
  • 主な提供情報は、1km メッシュ展開された7日先までの気象予測データ、気象予測データを用いた水稲の深水管理警報(図2)、水稲の危険期予測情報、水稲及びホウレンソウの生育予測情報(図3)である。
  • 深水管理警報マップでは、予測気温17°C以下で深水管理が励行される地域が赤色で示される(図2)。この深水管理警報は気温予測データに基づいて作成されるため、やがて来る低温に備えて早めの対策をとることが可能となる。さらに、GISソフトウェア機能により、エリアを拡大すると地名が表示されるため、地域における1kmメッシュ情報を取得することが可能である。
  • 水稲生育予測モデルにより、気象実況データと気象予測データに基づいた危険期・出穂期の予想日がマップで示され、より効果的に深水潅漑等の対策を実施できる。
  • ホウレンソウの生体重予測表示では、マップの他にも、1kmメッシュと播種日を指定した生体重予測結果グラフが閲覧でき(図3)、出荷調整等にも応用可能である。
  • 本システムは、気象データを用いた他の品目の作物生育予測モデルも搭載可能であり、複数の品目に関する栽培支援情報提供のプラットフォームとして活用できる。

成果の活用面・留意点

  • 本ウェブシステムは、農林水産研究高度化事業による、冷害等農作物被害軽減に関する研究成果を一般に普及するために作成された。冷害軽減技術に関する最新の研究成果は、順次、本ウェブサイト上で公開される。
  • 「水稲情報」「寒締め菜っぱ情報」サイトへ入るために必要なユーザーID とパスワードは、申請を受けてから交付する。

具体的データ

図1 システムの概念図

図2 深水管理警報のエリア拡大例

図3 ホウレンソウの生体重予測マップとグラフ

その他

  • 研究課題名:やませ等気象変動による主要作物の生育予測・気象被害軽減技術の高度化と冷涼気候利用技術の開発
  • 課題ID:215-b
  • 予算区分:高度化事業
  • 研究期間:2003~2006年度
  • 研究担当者:菅野洋光、川方俊和、神田英司、小林隆、石黒潔、兼松誠司、吉永悟志、
                      長田健二、濱嵜孝弘(北農研)