ニンニク「福地ホワイト」りん茎の長期貯蔵に適する温度条件

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要約

ニンニクりん茎の長期貯蔵には-1℃以下の条件が必須である。貯蔵終了後の芽の伸長は、貯蔵温度が低いほど抑制されるが、-5℃以下では凍結の発生、-3℃以下では貯蔵葉表面のくぼみなどの障害が発生しやすいことから、長期貯蔵温度としては-2℃が最も適する。

  • キーワード:ニンニク、長期貯蔵,氷点下温度、凍結、障害、萌芽、発根
  • 担当:東北農研・寒冷地野菜花き研究チーム
  • 連絡先:電話 019-643-3414、電子メール www-tohoku@naro.affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・野菜花き(野菜)、野菜茶業・野菜栽培生理
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ニンニクりん茎の室温での長期貯蔵を可能にしていた萌芽抑制剤マレイン酸ヒドラジドコリン塩の農薬登録が平成14年に失効し、それ以降、ニンニクの周年出荷には氷点下条件でのりん茎の貯蔵が不可欠となっている。しかし、貯蔵条件に関する詳細な検討は行われておらず、商品性を著しく低下させる凍結や障害の発生、また、流通、販売過程での萌芽、発根がみられる場合があり、問題となっている。そこで、高品質な国産ニンニクの周年安定供給を目的として、主要品種である「福地ホワイト」を用いて、りん茎の品質に及ぼす貯蔵条件の影響を明らかにし、品質保持に適する温度条件を提示する。

成果の内容・特徴

  • 約10か月間、芽、根の伸長をほぼ停止した状態で維持するには、-1℃以下での貯蔵が必要である(図1)。
  • 凍結は-5℃以下の貯蔵で発生するが、-3℃以上ではほとんど発生しない(表1、表2)。
  • -3℃以下の貯蔵では、貯蔵葉表面のくぼみや変色、貯蔵葉と保護葉間の間隙が発生しやすいが(表1、表2)、-2℃以上の条件ではこれらの障害の発生は抑えられる。
  • 貯蔵終了後の常温での芽の伸長は、貯蔵温度が低いほど抑制される(表2)。
  • 高湿度条件での氷点下貯蔵はりん茎重の減少を抑えるが、貯蔵終了後の芽、根の伸長を早める(表2)。
  • 現地の冷蔵庫を利用した試験においても、上記とほぼ同じ結果が得られる(表3)。但し、平均温度-2.3℃での貯蔵は、貯蔵葉と保護葉間の間隙の発生を促進する。

成果の活用面・留意点

  • 試験において、貯蔵温度は平均±1℃の範囲内で変動した。この範囲内の変動であれば、実用上の問題はない。但し、貯蔵庫の設定温度と実測温度とのズレや庫内の温度ムラには注意する必要がある。
  • -2.0℃での貯蔵が理想的であるが、氷点下温度の厳密な制御は困難であること、また、平均温度が-2.0℃より低くなると、間隙発生の危険性が高まることから、実用場面では、平均温度-2.0℃~-1.5℃での貯蔵が有効と考えられる。
  • 凍結には、氷点下貯蔵前のりん茎の乾燥程度が大きく影響する。本試験には、収穫後、約3週間、昼間のみ約35℃で加温乾燥したりん茎(盤茎水分23%)を供試した。

具体的データ

図1 貯蔵中のニンニクの芽(A)、根(B)の伸長に及ぼす貯蔵温度の影響

表1 凍結および障害の発生に及ぼす貯蔵温度の影響

表2 貯蔵終了4週間後のニンニクの品質に及ぼす貯蔵温度および湿度の影響

表3 現地ニンニク貯蔵庫の温湿度条件および貯蔵終了4週間後のニンニクの品質

その他

  • 研究課題名:寒冷・積雪地域における露地野菜及び花きの安定生産技術の開発
  • 課題ID:211-i
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:2005~2006年度
  • 研究担当者:山崎博子、矢野孝喜、長菅香織、稲本勝彦、山崎 篤、菊池昌彦(青森農総研)、
                      木村利幸(青森農総研)、木下貴之(青森農総研)