東北中北部向け飼料用稲「べこごのみ」無コーティング湛水直播の晩播播種適期
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要約
東北中北部向け飼料用稲「べこごのみ」を用いて無コーティング湛水土中直播で晩播を行う場合、5月下旬までの播種で、覆土条件下でも苗立が安定し、出穂の遅延や全乾物収量の低下も小さく、食用品種収穫前に黄熟期収穫が可能である。
- キーワード:飼料イネ、無コーティング湛水直播、べこごのみ、晩播、播種期
- 担当:東北農研・東北飼料イネ研究チーム
- 連絡先:電話019-643-3411
- 区分:東北農業・作物(稲栽培)、共通基盤・総合研究
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
食用品種より低コスト・省力生産が求められる飼料イネ湛水直播においては、過酸化カルシウム剤等の種子粉衣過程の省略により、春
作業の資材費、労力負担の低減が期待される。晩播の導入により苗立期の低温や食用品種の移植等との作業競合が回避されるが、栽培品種や播種時期によっては
食用品種との収穫作業競合や収量低下の懸念がある。
そこで、東北中北部向けに育成された早生飼料イネ専用品種「べこごのみ」を用いて、無コーティング湛水土中直播で晩播を行った場合の、苗立、出穂、収量確保からみた播種適期を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 「べこごのみ」の無コーティング湛水直播では、播種後10日間の平均気温が15度に達する5月下旬播種以降の晩播により、覆土条件においても乾籾換算8kg/10a程度(250粒/ m2)の播種量で100本/m2以上の苗立が確保される(図1)。
- 東北中北部の稲作地帯において、5月下旬は食用品種の移植最盛期を過ぎるため、春作業の競合を回避できる。また、稲作期間中で最も降雨が少なく日射量も多い時期のため、直播の計画的作業が能率的に行うことができ、落水出芽法の効果も得られやすい(図2)。
- 「べこごのみ」の出穂は、6月上旬播種では5月上旬播種に比べ7日程遅延するが、5月下旬播種では遅延程度は2日と小さく、8月中旬に出穂するため、食用品種収穫前の9月中旬の黄熟期収穫が可能である(図3)。
- 黄熟期全乾物重収量は播種期が遅くなるほど低下する傾向にあり、6月上旬播種では収量低下が大きくなるが、5月下旬播種では十分な収量が確保される(図4)。
成果の活用面・留意点
- 本成果は、「べこごのみ」のホールクロップサイレージとしての利用を対象とし、寒冷地での生産コスト低減および食用米生産との労力分散を図る上での基礎的知見となる。
- 播種にはK社多目的田植機用条播機(SPU600+DS6UKF)を用いた。
- 食用品種の収穫期は中生品種の刈取最盛期を基準とする。予乾体系では乳熟期からの収穫も可能なため、収穫時期を更に早めることができる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:東北地域における水田高度利用による飼料用稲生産と耕畜連携による資源循環型地域営農システムの確立
- 課題ID:212-b
- 予算区分:委託プロ(えさプロ)
- 研究期間:2006-2007年度(2006~2010年度)
- 研究担当者:山口弘道、木村勝一、矢治幸夫、河本英憲、押部明徳