手持ちの機械を活用した予乾体系によるミニロール稲発酵粗飼料の生産コスト

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要約

小規模な稲作経営と畜産経営の既存の機械を収穫調製に利用することで、少頭数飼養に適したミニロール稲発酵粗飼料を乾物1kg当たり64円のコストで生産でき、助成金により採算を取りながら地域資源の有効活用を図ることができる。

  • キーワード:稲発酵粗飼料、生産費、ミニロール、予乾体系、自脱型コンバイン、汎用利用
  • 担当:東北農研・東北飼料イネ研究チーム
  • 連絡先:電話019-643-3414
  • 区分:東北農業・基盤技術(経営)、共通基盤・経営、共通基盤・総合研究(飼料イネ)
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

稲発酵粗飼料(WCS)は飼料自給率の向上や水田転作に伴う耕作放棄地発生防止に寄与している。しかし、専用収穫機を用いた WCS導入は多額の投資を要し、またロールサイズが大きいため一定程度の飼養頭数規模が求められる。小規模繁殖牛農家などには少ない機械装備で軽量の WCSを飼養頭数に見合って生産できる予乾体系が受け入れられやすい。ここでは、小規模農家の既存の保有機械を収穫調製に利用した予乾体系によるミニロー ルWCSの生産費を明らかにし、収益性の観点から成立要因を示す。

成果の内容・特徴

  • 予乾体系によるミニロール稲発酵粗飼料生産は、稲作農家の保有する自脱型コンバインを汎用利用して刈り倒し、畜産農家の保有する小型ロールベーラー等で反転・集草・梱包する(表1)。
  • 収穫調製作業に要する時間は、刈り倒しに0.4時間/10a、反転・集草・梱包に7.3時間/10aである(図)。このうち、梱包からラッピングまでが66%を占める。
  • 栽培に要した10a当たり費用は40,842円、収穫調製に要した費用は30,039円、合計70,882円であり、乾物収 量は1,107kg(生重1,933kg、乾物率57.3%、平均ロール重:生重34kg、乾物19kg)である。その結果、乾物生産費は、64円/kg である(表2)。
  • これに対して販売価格は18.2円/kgであり、多くを産地づくり交付金等の助成金に支えられて収入71,195円/10aを確保し、かろうじて収支均衡している(表2の(7)の欄)。
  • しかし、上記の生産費には、作業委託や機械の借り上げ等に対する支払いが含まれており、WCSの作付けは就労機会の提供や既存機械を有効活用することに貢献している(表2の(8)、(9)の欄)。

成果の活用面・留意点

  • 少頭数飼養の畜産農家を含む農家集団等がWCSの新規導入を検討する際の参考になる。
  • 岩手県一関市の特定農業団体によるWCS生産受託作業の事例に基づく結果である。
  • 当該特定農業団体は、一戸当たり1~3頭の繁殖牛飼養農家8戸を含みWCS用稲を約8haを栽培する合計戸数20戸強の集落により設立された団体である。
  • ここに取り上げた数値は実証試験地におけるデータであるが、一般的な水準として参考とすることができる。

具体的データ

表1 予乾体系によるミニロールWCS生産の概要

 

図 10a当たり収穫調製作業時間(のべ)

 

表2 ミニロール予乾体系によるWCSの生産費と収益性

 

その他

  • 研究課題名:東北地域における水田高度利用による飼料用稲生産と耕畜連携による資源循環型地域営農システムの確立
  • 課題ID:212-b
  • 予算区分:委託プロ(えさプロ)
  • 研究期間:2006~2007年度
  • 研究担当者:藤森英樹、押部明徳、木村勝一、大谷隆二、中島敏彦、関矢博幸、小松篤司、河本英憲、山口弘道、橘 雅明