北上山地高標高公共草地における日本短角種親子牛群の放牧期間の日増体量

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要約

北上山地高標高公共草地における日本短角種親子牛群の放牧期間の日増体量は、去勢雄子牛が1.1kg、雌子牛が1.1kgおよび雌1才牛が0.7kgと、日本飼養標準と同等か、もしくはそれより高く、子牛の日増体量の季節変化は小さい。雌親牛も増体する。

  • キーワード:親子、北上山地、公共草地、高標高、日増体量、日本短角種、放牧
  • 担当:東北農研・寒冷地飼料資源研究チーム
  • 連絡先:電話019-643-3412
  • 区分:東北農業・畜産、畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

日本短角種の繁殖・肥育素牛生産の主体は、公共草地における親子牛群放牧にある。放牧牛群の適切な飼養管理には牛の体重推移や増 体量の把握が重要であり、日本短角種についても、それらに関する少なからぬ知見が蓄積されてきた。しかし、そのほとんどは試験レベルのものであり、営農現 場における日本短角種親子牛群についての知見は今なお乏しい。そこで本研究では、日本短角種主要生産地である北上山地の2つの高標高公共草地において、繁 殖農家の日本短角種親子牛群を対象に放牧期間中の全頭の体重および草量を定期的に測定し、牛の体重推移と日増体量および草量推移と生産量を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 子牛の体重は、日増体量の季節変化が小さくほぼ直線的に、日本飼養標準と同様かそれより高く推移する。放牧期間日増体量は、 去勢雄子牛が1.12(0.96~1.24)kg/頭/日、雌子牛が1.07(0.97~1.17)kg/頭/日であり、日本飼養標準と同等かそれより高 い(図1の1、2段目)。
  • 雌1歳牛(後継牛)の体重は、日本飼養標準と同様かそれより高く推移し、日増体量は夏に低いが、放牧期間日増体量は0.73(0.56~0.83)kg/頭/日であり、日本飼養標準より高い(図1の3段目)。
  • 雌親牛の体重は春から夏にかけて増加しその後減少する傾向を示し、放牧期間日増体量は0.39(0.28~0.57)kg/頭/日であり、雌親牛は放牧草地で増体する(図1の4段目)。
  • 草量は30~300gDM/m2の範囲にあり、5月から6月にかけて増加しその後一定で10月に減少、または5月から7月にかけて増加しその後減少する傾向を示し、放牧期間生産量に入牧時草量を加えた年間生産量は830~1100gDM/m2で、草地管理指標(2000)の東北高標高~中標高地帯の生産目標と同程度である(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 公共草地における日本短角種親子牛群の放牧飼養の参考となる。
  • 調査地の2003年と2004年の5~10月の平均気温は11~13℃、降水量は520~870mmであった。
  • 放牧圧は、A公共草地の2003年、2004年およびB公共草地では、それぞれ、1ha当たり1.7、1.5および2.0家畜単位(1頭当たりのポイントは種雄1.5、親子1.35、成牛1、1才牛0.8として計算)であった。
  • A公共草地ではフスマ等が7~30日ごとに0.1~0.6kg/頭/日に当たる量が、B公共草地ではフスマ等が一部の生産者により数回、主に雌親牛と雌1才牛に給与された。

具体的データ

図1. 北上山地高標高公共草地における日本短角種の放牧期間の体重推移と日増体量

 

図2. 北上山地高標高公共草地における地際5cm以上の草量と生産量

 

その他

  • 研究課題名:飼料自給率向上に向けた多様な寒冷地飼料資源の活用技術の開発
  • 課題ID:212-e
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:2002~2006年度
  • 研究担当者:東山雅一、村元隆行、近藤恒夫、出口新、川手督也