東北地方北部におけるナシマルカイガラムシの発生時期

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要約

東北地方北部におけるナシマルカイガラムシ歩行幼虫の発生時期は6月下旬~7月下旬、8月下旬~9月下旬の2回で、歩行幼虫の発生時期は一定の有効積算温度に達した時期と一致する。

  • キーワード:ナシマルカイガラムシ、歩行幼虫、発生時期、有効積算温度、リンゴ
  • 担当:果樹研・省農薬リンゴ研究果樹サブチーム
  • 連絡先:電話019-645-6157
  • 区分:東北農業・果樹
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ナシマルカイガラムシは近年広まってきた省農薬リンゴ栽培で増加してきた害虫である。本種が多発すると、果実の外観が損われ果実 品質が低下するうえ、樹勢が低下しその被害の影響が複数年にわたる。東北地方北部におけるナシマルカイガラムシの歩行幼虫を対象とする防除適期はこれまで 不明であった。そこで、ナシマルカイガラムシ歩行幼虫の発生生態の解明と、歩行幼虫発生時期と有効積算温度との関係を解明する。

成果の内容・特徴

  • ナシマルカイガラムシは年2世代で、歩行幼虫は6月下旬から7月下旬、8月下旬から9月下旬に発生する(図1)。
  • 第1世代歩行幼虫の発生初期と発生ピークは、3月1日を起点とする発育零点(10.5℃)から発育上限温度(32.2℃)ま での有効積算温度がそれぞれ338、427日度に達した時期に、また第2世代歩行幼虫の発生初期と発生ピークはそれぞれ1005、1170日度に達した時 期と一致する(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 今回解明した歩行幼虫発生時期をもとに効率的な防除が行えるようになる。
  • 今回明らかにした歩行幼虫発生時期と有効積算温度との関係を利用して、ナシマルカイガラムシ歩行幼虫の発生時期が未解明であるリンゴ生産地において防除時期を予測し、主要害虫との効率的な同時防除時期を提示できる。

具体的データ

図1 ナシマルカイガラムシ歩行幼虫発生消長

 

表1 歩行幼虫発生時期と有効積算温度(日度) 1)

 

その他

  • 研究課題名:フェロモン利用等を基幹とした農薬を50%削減するリンゴ栽培技術の開発
  • 課題ID:214-o
  • 予算区分:農薬削減リンゴ
  • 研究期間:2004~2007年度
  • 研究担当者:新井朋徳、井原史雄、高梨祐明(東北農研)、豊島真吾
  • 発表論文等:新井朋徳(2007)北日本病害虫研究会報.58:170-173.