一季成り性イチゴの短日条件下における花芽分化可能な温度
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要約
寒冷地夏秋どりのための短日処理下において、「女峰」、「さちのか」および「とちおとめ」は平均気温24℃以下、「北の輝」は22℃以下で花芽分化するが、昼温が30℃以上、夜温が20℃以上の場合には花芽の分化が遅れるか、あるいは分化率が低下する。
- キーワード:イチゴ、一季成り性、温度、寒冷地、短日、花芽分化
- 担当:東北農研・寒冷地野菜花き研究チーム、夏秋どりイチゴ研究チーム
- 連絡先:電話019-643-3414
- 区分:東北農業・野菜花き(野菜)、野菜茶業・野菜栽培生理
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
夏季冷涼な東北地域の気候を生かし、端境期である夏秋期のイチゴ生産を行うことを目的とした一季成り性品種の短日処理による夏秋
どり作型が開発されている。処理時期が高温期にあたるため、花芽分化に対する温度の影響について詳しく知る必要がある。ここでは、短日処理下における花芽
分化可能な温度域を明らかにするため、高夜温下あるいは低夜温下における昼温、中庸な昼温下での夜温等の影響に注目し、人工気象室を用いて様々な温度域に
おける花成反応を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 8時間の短日処理下において,「女峰」、「さちのか」および「とちおとめ」では平均気温24℃以下で花芽分化可能である。
24℃以下の温度であっても、その近傍(22~24℃)では花芽分化が確認できるのに35日以上要する。「北の輝」では、22℃以下で45日以内に花芽分
化可能である(図1)。
- 平均気温が24℃または22℃以下であっても、昼温が30℃以上、または夜温が20℃以上になる場合には、花芽の分化が遅れるか、あるいは未分化個体が混在することがある(図1)。
成果の活用面・留意点
- 2葉期の子苗を採苗し12cm径ポリポットで育苗を行った苗を、2003~2007年の5か年にわたって供試した。ポットへの窒素施肥量80mgのほか育苗中に2,3回液肥により追肥を行っている。
- 実際栽培ではトンネル、パイプハウスでの短日処理となるので、昼間30℃以上になる日もあり、花芽分化は必ず検鏡によって確認する必要がある。
具体的データ

その他
- 研究課題名:寒冷・冷涼気候を利用した夏秋どりイチゴ等施設野菜の生産技術の確立
- 課題ID:213-b
- 予算区分:交付金プロ(寒冷地イチゴ)
- 研究期間:2003~2007年度
- 研究担当者:山崎 篤、矢野孝喜、長菅香織、稲本勝彦、山崎博子