倒伏に強く大粒良質で蛋白質含量が高い大豆新品種候補系統「東北160号」
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要約
だいず「東北160号」は倒伏とダイズモザイクウイルスに強い。子実は大粒良質で、子実中の蛋白質含量が「エンレイ」並に高く豆腐に適する。
- キーワード:大豆、耐倒伏性、ダイズモザイクウイルス抵抗性、蛋白質含量、豆腐適性
- 担当:東北農研・大豆育種研究東北サブチーム
- 代表連絡先:電話 0187-75-1084
- 区分:作物、東北農業・作物(夏畑作物)
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
国際的な需給の逼迫と価格の上昇により、実需者から国産大豆の安定供給が強く求められている。国産大豆の主たる用途は豆腐であり、豆腐用の代表的な高蛋白品種に「エンレイ」がある。「エンレイ」は広域適応性を有することから東北南部山形県でも作付けされているが、ダイズモザイクウイルス抵抗性が不充分で、生産安定のために抵抗性の強化が望まれている。また、東北南部で作付けされている中粒種の「スズユタカ」は蛋白質含量が低めで、かつ湿害や連作などによる小粒化が問題となっている。そこで、東北南部向きに大粒でダイズモザイクウイルスに強く、さらに耐倒伏性等の機械化適性を向上させた豆腐用の高蛋白品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「東北160号」は、平成8年に東北農業試験場(現、東北農業研究センター)において、ダイズモザイクウイルス抵抗性の「東北129号」を母、極大粒系統の「刈交0264MYF6」を父とした人工交配から育成された系統である。
- 成熟期は「エンレイ」より1週間ほど遅い晩生で、収量は普及見込み地帯の山形県では「エンレイ」並である(表1)。
- 倒伏に強く、最下着莢位置が高く、難裂莢性で、コンバイン収穫等の機械化適性が優れる(表1、図1)。
- ダイズモザイクウイルスと紫斑病に強い(表2)。
- 子実は百粒重が40g前後の大粒で外観品質に優れ、煮豆、味噌の加工適性も良好である(表1)。
- 子実中の蛋白質含量は45%前後で「エンレイ」並に高く、豆腐に適する(表1、表3)。
成果の活用面・留意点
- 栽培適地は東北南部等で、山形県で奨励(認定)品種に採用し、同県で主力の「エンレイ」の一部および「スズユタカ」に置換えて普及する予定である。普及見込み面積は1000haである。
- ダイズシストセンチュウには「エンレイ」と同様に弱いので、過度の連作やセンチュウ被害の発生履歴がある圃場での栽培は避ける。
具体的データ




その他
- 研究課題名:省力・機械化適性、加工適性、病害虫抵抗性を有する食品用大豆品種の育成と品質安定化技術の開発
- 課題ID:211-b
- 予算区分:基盤
- 研究期間:1996~2008年度
- 研究担当者:湯本節三、菊池彰夫、河野雄飛、加藤信、高田吉丈、島田信二、境哲文、
島田尚典、高橋浩司、足立大山、田渕公清、中村茂樹