フェストロリウム「東北1号」は排水不良な耕作放棄水田跡地等でも導入できる

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要約

フェストロリウム「東北1号」の耐湿性はきわめて強く、オーチャードグラスが導入できない排水不良な耕作放棄水田跡地等にも容易に導入できる。このような不良環境下でも、利用初年目は年間約1250kg/10aの乾物収量が期待できる。

  • キーワード:フェストロリウム、東北1号、排水不良、耕作放棄水田、乾物収量
  • 担当:東北農研・寒冷地飼料資源研究チーム
  • 代表連絡先:電話019-643-3562
  • 区分:東北農業・畜産、畜産草地
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

フェストロリウムは高品質で耐湿性も兼ね備えるとされる新牧草で、湿潤な転作田等における栽培・利用に適した牧草として有望視されている。しかし、圃場レベルでの耐湿性の検証は行われておらず、また、現地転作田等への適応性や、実規模栽培での収量性も明らかになっていない。そこで、国内で初めて育成されたフェストロリウム品種「東北1号」(平成21年度品種登録)について、耕作放棄された排水不良な水田跡地(耕作放棄水田跡地)への導入適性と、耕作放棄水田跡地での収量性を評価する。

成果の内容・特徴

  • 長期にわたり水位が上昇するため、オーチャードグラスやリードカナリーグラスが導入できずイグサやスゲが優占するようになった耕作放棄水田跡地でも、フェストロリウム「東北1号」は容易に導入できる(図1)。
  • フェストロリウム「東北1号」は、オーチャードグラスの収量が大きく減少する排水不良な環境下でも、収量が低下することはない(図2)。
  • 耕作放棄水田跡地に導入したフェストロリウム「東北1号」の利用初年目は、年間約1250kg/10aの乾物収量が期待できる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • フェストロリウムを排水不良な耕作放棄水田跡地等に導入する際の参考となる。
  • 2、3番草の草勢維持のためには、1番草収穫時にトラクターの轍ができない程度の乾湿状態であることが望ましい。
  • この成果は「東北1号」の採草利用を目的にしたものであり、放牧利用に関しては未検討である。

具体的データ

図1.現地耕作放棄水田跡地へのフェストロリウム「東北1号」導入事例の概要と地下水位の変化

図2.排水状態の異なる現地耕作放棄水田跡地における1番草の乾物収量

表1.現地耕作放棄水田跡地に導入した「東北1号」の初年目の乾物収量

その他

  • 研究課題名:飼料自給率向上に向けた多様な寒冷地飼料資源の活用技術の開発
  • 課題ID:212-e.2
  • 予算区分:基盤(所内活性化)
  • 研究期間:2006-2008年度
  • 研究担当者:嶝野英子、魚住順、出口新