水稲湛水高密度散播直播栽培におけるいもち病の発生特徴
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要約
水稲湛水高密度散播直播栽培の葉いもち中期以降の発生量は、稚苗機械移植栽培に比べ、同等か多くなるが、穂いもち発生量は出穂期前後の降雨日数の多少に応じて変動するため、多くなるとは限らない。
- キーワード:イネ、湛水高密度散播直播、いもち病、発生特徴
- 担当:東北農研・寒冷地温暖化研究チーム、東北水田輪作研究チーム、低コスト稲育種研究東北サブチーム
- 代表連絡先:電話019-643-3433
- 区分:東北農業・基盤技術(病害虫)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
東北地域における低コストで多収・高品質な作物生産を可能とする高生産性水田輪作体系を構築するため、直播適性の高い水稲品種の湛水高密度散播直播栽培が検討されている。しかし、本栽培で問題となるいもち病の発生の特徴についてはまだ解明されていない。そこで、水稲の湛水高密度散播直播栽培におけるいもち病の発生の特徴を明らかにし、高生産性水田輪作体系構築の基礎とする。
成果の内容・特徴
- 水稲の湛水高密度散播直播(鉄コーティング種子表面播種、播種量乾籾約6kg/10a、苗立数111~186本/m2)栽培の葉いもち中期以降の発生量は、稚苗機械移植栽培(栽植密度30cm×15cm)に比べると、同等か多くなる(図1、表1)。
- 穂いもちの発生量は出穂期前後の降雨日数の多少に応じて変動するため、湛水高密度散播直播栽培が機械移植栽培より多くなるとは限らない(図2、表1)。
- 圃場抵抗性が強い品種「ちゅらひかり」は、湛水高密度散播直播栽培でも高い発病抑制効果を示す(図1、図2、表1)。
成果の活用面・留意点
- 水稲の湛水高密度散播直播栽培におけるいもち病防除の参考となる。
- 本成果はいもち病罹病苗を伝染源として移植した本病無防除の条件で、秋田県大仙市の東北農業研究センター内の大豆跡水田で得られた。
- 湛水高密度散播直播栽培でも機械移植栽培同様、薬剤散布によりいもち病の防除が可能である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:東北地域における高生産性水田輪作システムの確立
- 課題ID:211-k.3
- 予算区分:委託プロ(担い手)
- 研究期間:2007~2008年度
- 研究担当者:小泉信三、白土宏之、片岡知守(九州沖縄農研)、山口誠之